数ヶ月間寝かせていたコラム、ようやく始動
はじめまして、二宮倫子と申します。
キリンビバレッジという会社に入社して早6年。マーケティングの職務について、もうすぐ3年を迎えようとしています。
最初に、編集者さんからこのお話をいただいたのは、まだ肌寒い季節のこと。
・・・そう、実は数ヶ月間も寝かせていました。
作家でも執筆家でもないわたしが、「編集者さんに“まだですか?”と追い立てられる」という、ドラマでよく見る光景がまさに自分ゴトになった瞬間。まさか、わたしの人生にそんな日が訪れるなんて・・・!(喜んですみません。てへ)
こんな駆け出しのわたしが、アドタイでコラムを書いて誰の役に立つんだろう?公然の場で赤っ恥をかくだけでは?と、はじめは正直なところ、悩んでいましたが、とある大物クリエイティブディレクターに相談したところ、「仮に恋バナの公開独り語りみたいになったとしても、絶対にやったほうがいい。だって、今の君に何も失うものなんて何もないでしょう」とアドバイスされました。た、たしかに・・・。
ここでは、普段仕事で大切にしていることや、興味を持っていることなどを、実際に関わった事例や、気になる事例を通し、いまのわたしの立場ならではの目線で、肩肘張らず、ゆるーく綴っていければと思っていますので、生暖かく見守ってもらえれば幸いです。
ついでに、広告主側の立場の20代社員が、普段どんなことを考えながら働いているのか、すこ~しでも参考になれば嬉しいです。
2016年に30周年を迎えた「午後の紅茶」
せっかくなので、少しだけ仕事の話を。
ここ1年間は、主に「午後の紅茶」の広告クリエイティブ制作の仕事をしていました。直近でオンエアしたのがこの広告。
30周年という節目の年に、改めて「午後の紅茶」の本質価値を表現するのが、今回の目的。メーカー主語のアニバーサリー広告やお客様への感謝広告ではなく、午後ティーとお客様との関係性を示すような、未来に向けた「ビジョン」を語るコミュニケーションにしたい、という想いがありました。
西内まりやさん演じる「ティーガール」は、駆け出しの帽子デザイナー。ちょっぴり緊張する場でも、上手くいかなくて切ない気持ちになってしまうときにも、夢に向かって奮闘する「ティーガール」の隣で、いつも優しく背中を押して応援してくれる存在として、午後の紅茶を描きました。
クリエイティブの仕事において、最も大切にしていること
午後の紅茶が誕生してから30年の間に培った資産の1つに、「午後ティー」という愛称があります。決してわたしたち企業側から発信したわけではなく、お客様のあいだで自然発生的に生まれたものです。数ある消費材のなかでも、こんな愛称を持つ商品は実は多くないのでは、と思っています。
その愛称を「go, go, tea!」という前向きな掛け声に変換したのも、今回のチャレンジの1つ。はじめ、広告会社さんから提案をいただいたときは、正直戸惑いました。お客様から生まれた言葉を自ら広告のコピーに使うのは、実は大変勇気がいることです。人間に置き換えても、ニックネームを自称にしちゃうのってちょっと勇気がいりますよね。
でも、この愛称は30年という年月のあいだに生まれたお客様との絆の証でもあります。お客様が「午後ティー」と日常のなかで呼んでくださる瞬間に、少しでも「go, go, tea!」からの前向きなメッセージが頭をよぎってくれれば、この上なくうれしいことだなと考えました。
わたしたちメーカー側が広告に使うなんて思いもよらなかったブランドのニックネームを、「資産」として棚卸して、キラキラ輝くメッセージに変えてくれたコピーライターさんらに感謝。
わたし自身がクリエイティブの仕事に向き合うときに最も大切にしているのは、「素直であること」「等身大であること」です。人のインサイトを掘り起こすときに、世間体や誰かの目を気にした発言だけをしていては、絶対にたどり着けないと思っています。だって“インサイト”ですから、本来は言葉にはならない感情のはず。
だからこそ、「こんなこと、口にしたら恥ずかしいかも」をいう言葉を、「変なやつ」と思われるリスクと引き換えに、打ち合わせの場ではあえて積極的に声に出してみるようにしています。例え“n=1”の偏った意見だとしても、そこから議論が活性化すれば結果オーライです。(具体的事例も交えたかったのですが初回が始まる前から嫌われそうなので今回はやめます)
マーケティングの仕事では、まだまだ知識面でも経験面でも修行中の身。でも、広告の「ティーガール」のように、紅茶を片手に、夢に向かって少しずつ成長できれば、と思っています。
これから、どうぞよろしくお願いします!
新コラム「(ぎりぎり)20代マーケ女子のひとりごと。」の1回目は、7月14日(木)公開予定。お楽しみに!