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今回のゲスト
千田忠慶(せんだ ただよし)
NTTレゾナント メディア事業部 ソーシャルサービス部門 CS担当・ブログ担当課長
gooが誕生した1997年NTT入社。金融関係のビジネス企画、goo広告企画営業、goo動画プロデューサー、教えて!goo広告商品企画、gooスマホ部企画に従事。2012年より、お客様の満足度向上を目的とするCS担当の責任者としてgoo事務局を運営。社員のソーシャルメディア利用促進の一環として、2012年 よりTwitter上で「ありがとう」のお礼とアクティブサポートを行うgooサンクスチーム(@goo_thanks)を開始し、2014年より「gooアンバサダープログラム」を始動。
目標は「顧客の満足度」をあげること
藤崎:アンバサダープログラムを始めたきっかけから教えてください。
千田:話は5年前に遡ります。私はCS担当として、goo全体の「顧客満足度」を上げることを目標に、主にメールを中心としたサポートセンターの対応やFAQの充実などに取り組んできました。そのような中で、もう少し積極的に顧客満足度を上げる取り組みができないか考えるようになりました。
そこで、まずお客様の声を聴いてみるために、いわゆる「傾聴」を始めました。gooの評判形成がどのようにTwitter上で行われているかを把握しつつ、ファンを探して、その人たちとエンゲージメントを築けないかと考えたのです。
藤崎:傾聴とは、ソーシャルメディア戦略のバイブルと言われる書籍『グランズウェル』にでてくる「5ステップ」の第1ステップですね。
『グランズウェル』(シャーリーン・リー&ジョシュ・バーノフ著):ソーシャルメディア戦略の基本が書かれた名著。特に「5ステップ」と呼ばれる戦略は、世界中のマーケターが参考にしている。
千田:そうです。5ステップを順に実行していきました。まずは「gooサンクスチーム」というTwitterアカウントを作って、「傾聴」をしばらく行いながら、徐々に第2ステップであるユーザーとの「会話」フェーズに移行しました。その結果、ユーザーと仲良くなるケースがだんだん増えていきました。話しかけることを続けながら、gooについて理解してもらおうという取り組みを1年ほど行ないました。その結果、多くの場合、エンゲージメントを強めることができ、次のステージへのステップアップとして、アンバサダープログラムに着目しました。
藤崎:なるほど。もともと「傾聴」や「会話」を行っていた流れがあったわけですね。それは素晴らしい。なぜ、アンバサダープログラムだったのですか。
千田:理由は5つあります。1つ目はTwitterやFacebookなどの特定のプラットフォームに依存するのではなく、gooファンとの直接の結びつきを重視したいということ。
2つ目は、『グランズウェル』の「5ステップ」でいう「活性化」「支援」「統合」を、今後実行していくためには、単なるユーザーではなく、もっと濃い関係が必要だと考えたこと。
3つ目はリアルにおけるコミュニケーションを意識したこと。私達はオンラインの会社なのですが、同時にオフラインも大切にしたいと思いました。
4つ目は「NPS®調査」の結果を踏まえたもの。どうしたらNPS®スコアを上げられるかという観点からアンバサダープログラムに着目しました。
5つ目は差異化です。色々なポータルサービスがある中で、リアルなコミュニケーションや、ファン化を推進している取り組みは他社では行っていないので、私たちにしかできないプログラムができるのでは、と考えました。
藤崎:『グランズウェル』の「5ステップ」の実践を目指す流れで、アンバサダーに辿りついたということですね。同時に興味深いのが、NPS®スコアを上げるためにアンバサダープログラムに着目したという点です。詳しく教えてください。