サスティナブル・カンパニーの事業構想
先行き不透明感が漂う現代、企業の新陳代謝がめまぐるしい。2015年の国内株式上場企業は98社ある一方で、企業の倒産件数は全国で8,812件にも上る。
このようにビジネス構造がめまぐるしく変化する状況への対応は、会社として必須のもの。つまり、常に世の中の変化や状況に合わせて、変えるべきは変え、守るべきは守るという「不易流行」の精神で、事業構想を考えていかなければならない。そのためには会社として、1本筋が通った経営理念が必要なことは言うまでもない。
経営理念をもとに、従業員や顧客、取引先、さらには地域社会などそれぞれの満足度を高めながら、地球環境に貢献し、未来永劫に発展する会社を目指す。それが、サスティナブル・カンパニー(「ずーっと」栄える会社)の事業構想だ。このような会社は、結果として出資者である株主や投資家にとっても、永続的な配当や利息の確保など投資収益をもたらす魅力ある会社となる。
多くの場合、経営理念では、顧客や社会、当然のことだが従業員も含めて多様なステークホルダー(利害関係者)との良好な関係を築くことが宣言される。筋の通った経営理念があり、それが従業員も含めて社内外に広く見える化されることで、トップから現場まで、すべての従業員から共感を得ることが可能になる。
事業構想をすすめるマーケティング
問題はその先だ。いくら立派な経営理念をつくりあげても、社内だけでとどまり、顧客に伝わらなければ意味がない。そのカギとなるのが、事業構想を進める広報・宣伝力だ。
たとえば、無印良品は、創業時代の理念「わけあって、安い」を進化させ、時代に合ったコンセプトの実現を常に意識してきた。ここ3年のキャッチフレーズを見ても良くわかる。2013年は「良い旅を、良い品と。MUJI_to_GO」、2014年は「当然、自然、無印」、2015年「地球の色」だ。
シンプル志向、個性化、環境志向、グローバル化など、時代の流れや消費者の価値観を反映させた無印良品のキャッチフレーズには、常に消費者起点を重視しながら、サスティナブルな会社を目指す様子が見て取れる。
こうした姿勢は、商品のみならず、シンプルな店内、陳列・装飾の簡素化など、店舗運営形態や宣伝コンセプトにも表現され、あらゆる企業活動を事業構想の下で一体化させている。
このように経営理念を事業構想に反映させ、宣伝・広報活動などのマーケティング活動により、見える化できれば、全社一体となった求心力を高める活動が推進できることとなる。