「銀行=堅い」からの脱却 — 琉球銀行のブランドフィルム

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株式会社宣伝会議は、月刊『宣伝会議』60周年を記念し、2014年11月にマーケティングの専門誌『100万社のマーケティング』を刊行しました。「デジタル時代の企業と消費者、そして社会の新しい関係づくりを考える」をコンセプトに、理論とケースの2つの柱で企業の規模に関わらず、取り入れられるマーケティング実践の方法論を紹介していく専門誌です。記事の一部は、「アドタイ」でも紹介していきます。第8号が好評発売中です!詳しくは、本誌をご覧ください。

地域に根差す企業とクリエイターがパートナーとなり、新しい価値を生み出した事例を、手がけたクリエイターが自ら解説。今回は沖縄の事例です。

今年で創業68年を迎え、長く沖縄で愛される琉球銀行は、世間が銀行に対して抱いている堅いイメージを払拭する、さまざまな施策や商品を展開する企業です。過去には、合体ロボット「りゅうぎんロボ」が登場する3DのアニメーションCMや、ボーカロイド曲にのせて魔法少女のコスチュームを着た美少女キャラクターが登場するCMなどを制作したことで注目を集めました。銀行だけれど、ユニークな社風を持っている 企業ーーこんなブランドイメージが、地元沖縄では定着しつつあります。

今回紹介する映像は、琉球銀行ブランドフィルム「your TIME」と題したドキュメンタリー映像で、沖縄に住む老若男女さまざまな方々にご出演いただき、「時間」を題材とした問いに答えてもらったものです。限りある人生、あなたなら何をしますか?時間があと100年あるとしたら?あと10年だったら?あと1年、あと1日……と時間を縮めていくことで、回答者それぞれの根本的な答えを見つめる映像となっています。映像の最後では「だれの人生にも限りがある。あなたは何をしますか?時は金なり。」というメッセージを通じて、一人ひとりの人生をより豊かなものとするために、 琉球銀行が貢献していこうとする姿勢を表現しました。

琉球銀行ブランドフィルム「your TIME」

オリエンでは、株主総会やイベントで使用し、行員の意識向上につながるような映像をとの要望がありました。クライアントとの打ち合わせを経て、「頑張ろう!」と行員を鼓舞する表現や「自分たちはカッコいいんだ!」などの自画自賛的な表現ではなく、行員一人ひとりが自身のモチベーションや行動を考えるきっかけとなるような映像にしようと考えました。

撮影時には、出演者の自然な人柄を引き 出すため、たわいのない会話の中で質問を投げかけ、答えてもらうようにしました。また映像の内容から、当初ターゲットであった行員だけでなく、世間一般の方々にも見てもらえるよう、テレビCMやWebでも公開し、琉球銀行のブランディング強化へつなげました。

プロジェクトを進めるにあたって普段から意識しているのは、販売する商品自体をリサーチすることはもちろん、それと同様に、クライアントとのコミュニケーションを多く図るようにしています。そうすることで、商品に込めた思いや、どのように消費者に届けたいのかを整理していきます。クライアントと消費者の出会いの場を演出することが、僕たちの仕事だと思っているんです。

ローカルであることを特別に意識することはほとんどありません。場所というより、 目の前の人や企業を意識したものづくりをすることで、オリジナリティが生まれ、その先に良い塩梅で地域性がにじみ出てくるように思います。地域より、もっと小さな「人」という単位で考えることで、身近でありながら広く本質的なことに気づけるのかもしれません。

福田知広 Tomohiro Fukuda
デザイナー、クリエイティブディレクター

福岡県生まれ。沖縄県立芸術大学デザイン工芸学科卒。広告会社勤務を経て、Fukuda Designとして独立。

 

CLIENT’S VOICE

お客さまの笑顔をいただくためにクリエイティブは不可欠

ブランドコミュニケーションで重視しているのは、沖縄に貢献すること、そして多くの琉球銀行ファンをつくること。
広告表現に限らず、クリエイティブは最も重要だと認識しています。お客さまの想像を超えた感動をつくることができれば、お客さまの笑顔をいただくことが可能なはずです。クリエイターとは、まず人としてお互いの信頼関係をつくることが重要。その後は、クリエイターに自由に楽しく仕事をしてもらう環境をつくるのが私の仕事です。

伊禮 真 Makoto Irei
琉球銀行 営業統括部 上席調査役

 


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