バズ動画は、TVCMの「代わり」なんですか?

TVCMとHERO動画(いわゆるバズ動画)は、同じ会話の中で登場することが多い気がします。例えば「TVCMほどの予算がないから、バズ動画をつくりたいんです」とか、「TVCMが若年層に響いてない気がするので、バズ動画で訴求したいんです」とか。お気づきだと思いますが、この会話の「、」部分には、たいてい「代わりに」というニュアンスが含まれていることが多いです。

でも、HERO動画(バズ動画)って、TVCMの「代わり」に相当するんでしょうか。

HERO動画はTVCMにとって代わるのか?

僕たちは、純粋な置き換えはできないと思っています。両者は、ターゲットに対する役割とか、アプローチ方法がちょっと異なると考えているからです。

初心に帰って、図解してみました。
もともと、企業(クライアント)が生活者とコミュニケーションを深めるためにつくる広告的コンテンツは、多かれ少なかれ、自社商品やサービスの知名度向上や購入・利用に結び付いてほしいと考えてつくるわけです。この気持ちが「100% ない」という企業の方には、まだ、お会いしたことがありません。

コミュニケーション目的のコンテンツによるターゲットアプローチの基本的な考え方

程度の差こそあれ、商品やサービスとの親和性の高い層をターゲットに設定し、そのターゲットと自社の関与度を高めていくことが、広告的コンテンツのミッションですよね。そして、この広告的コンテンツの代表選手がTVCMというわけです。

では、HERO動画はどうでしょう。
企業のコミュニケーション・コンテンツとしてHERO動画をつくる場合、商品やサービスと親和性の高い直接的なターゲットだけでなく、その“周り”、つまりターゲット“以外”も巻き込む、という発想で制作するところに、価値があると思います。

この意図でつくられた、世界的に名だたるHERO動画といえば、2014年のカンヌライオンズで各部門の賞を総なめにした、Volvo Trucksによる「LIVE TEST SERIES」ですよね。その中でも、ジャン=クロード・ヴァン・ダムが、バック走行中の2台のトラックにそれぞれの足をかけて華麗な股割りを披露した「The Epic Split」は、特に有名です。


当時のPR部門のエントリービデオによると、シリーズ累計のYouTube上の動画再生回数は1億回以上、記事掲載は2万件以上、パロディ動画は数千。さらに、トラックバイヤーの購買検討率が46%増加したと報告されています。

トラックの購入を判断する直接的なターゲット(バイヤー)だけでなく、その家族や友人など、ターゲットに影響を与え得る“周りの生活者”や、メディアの関心を惹く動画をつくり、その“言の葉”に乗ることで、ターゲットの認知や購買意欲の向上に、直接的かつ、間接的に影響を与えたというわけです。

ターゲットの“周り”を巻き込み、“言の葉”を活用するHERO動画

つまり、TVCMは、商品やサービスとの親和性の高い層をターゲットに、直接刺さるメッセージを効率よく届けることを主軸に考える一方、HERO動画は、ターゲットの間口を広げて、多くの人を巻き込むことにポイントを置いているわけです。

どうしてそうなるかというと、それぞれのコンテンツの視聴環境に由来します。

次ページ 「物理的な距離が、気持ちの距離に比例する?」へ続く

次のページ
1 2 3
眞鍋 亮平/鹿間 天平/根本 陽平(鬼ムービー)
眞鍋 亮平/鹿間 天平/根本 陽平(鬼ムービー)

オンライン動画を中心に、最適かつ先進的なコミュニケーションをプランニングから制作・PDCAまで担う専門チーム。クリエーティブ、PR、メディアを中心に各部門からデジタル領域の知見を持つスタッフがグループ横断で集結している。名前には、鬼ヤバい・鬼泣ける・鬼かわいいなど、オンライン上の動画を楽しむ世代が使用する「鬼」という言葉に着目し、鬼○○な動画を生み出すチームという意味を込めている。

眞鍋 亮平/鹿間 天平/根本 陽平(鬼ムービー)

オンライン動画を中心に、最適かつ先進的なコミュニケーションをプランニングから制作・PDCAまで担う専門チーム。クリエーティブ、PR、メディアを中心に各部門からデジタル領域の知見を持つスタッフがグループ横断で集結している。名前には、鬼ヤバい・鬼泣ける・鬼かわいいなど、オンライン上の動画を楽しむ世代が使用する「鬼」という言葉に着目し、鬼○○な動画を生み出すチームという意味を込めている。

この記事の感想を
教えて下さい。
この記事の感想を教えて下さい。

このコラムを読んだ方におススメのコラム

    タイアップ