9月24日現在、YouTubeで約1,627万回再生のNTTドコモ「3秒クッキング 爆速エビフライ」、約634万回再生のトヨタマーケティングジャパン「Loving Eyes -Toyota Safety Sense」、そして約4,098万回再生の「Discover Pokémon in the Real World with Pokémon GO!」。これらの圧倒的な再生回数を誇るバイラル動画は、実はすべてある一人のプロデューサーが手掛けています。その人の名は、AOI Pro.の加藤久哉さん。さまざまなエージェンシーやクリエーティブディレクターたちと、ヒットを連発している加藤さんにこそ、日本のオンライン動画制作の知見やノウハウが蓄積されているに違いない。そう考えた僕たちは、バイラル動画を成功させる秘訣やオンライン動画の今後について、加藤さんに直接尋ねてみました。
最初に、バズを狙う覚悟を確認する。
—オンライン動画、特にバズムービーが求められるときに、初動で心がけていることはありますか?
「鬼ムービーの連載を読みましたが、HHH(Hero-Hub-Helpとオンライン動画の役割を分ける戦略)の考え方は本当にそうだなと思いました。ホームランを狙う必要がないのに、とにかくバズでお願いします! という場合がけっこう多いんです。でも、ホームランなんて狙って打てるものじゃない。だから、この動画で本当にバズやホームランを狙う必要があるのかどうかを、作る前にしっかり議論するようにしています。その上で、どうしてもバズを起こしたいというクライアントさんの意思と、エージェンシーさんの判断に納得性があれば、じゃあ、ぶっ飛んだものをやりましょうか、という議論に入ります。バズを起こしたい! と言いながら、結果的にぶっ飛んだ企画を出してもOKが出なかったり、ここまでのものはさすがに、とか。やっぱり求めていたのはこういうものじゃないんです、みたいになってしまわないように、最初に注意深く議論することが大事だなと思いますね」
鬼ムービーの学び①
Heroムービーを作るからには、クライアントにもエージェンシーにも覚悟が必要です。HubでもHelpでもなく今回はHeroで勝負をかけるのだ! と決めたら、役割を絞り、余計な説明は省き、その表現の純度を高めて徹底的に尖らせていかないと、突き抜けた映像にならず、結果、失敗してしまうから。企画の前から、関係者全員で合意を得ることができている。このことがあってこそ、初めて加藤さんの驚異的な打率の高さが実現できているのだと思いました。