創設16年目を迎えた今年、PRアワードの審査方法やエントリー形式が刷新された(関連記事はこちら)。博報堂ケトルの嶋浩一郎さんを審査委員長とし、企業広報やPR関連会社で実務経験を持つ8人の審査員団が選考にあたる。
「PRの“未来”を指し示すものにしたい」と関係者が語る、新・PRアワードとは。
8人の審査員団の中から、審査委員長の嶋浩一郎さん(博報堂ケトル 代表取締役社長 クリエイティブディレクター)と、審査員の吉宮拓さん(プラップジャパン 執行役員)に話を聞く。
自分の仕事を自慢すると、いろいろ「いいこと」が起きるはず
Q:PRアワード開催にあたり、嶋審査委員長がどうしても主張したいことがあると伺いました。
嶋:僕が声を大にして言いたいのは、PRパーソンは恥ずかしがらずに自分の仕事を「自慢」しよう! ということです。PRパーソンは「自分は、こんなことができます」ということを、もっと業界の内外に表明すべきだと思います。昔から、あまりにPRパーソンが「黒子」的な存在でありすぎる気がしています。
吉宮:PRパーソンは、未公開でセンシティブな情報を扱うことが多いですよね。クライアントと一体となって、シームレスにプロジェクトに取り組んだり、経営に近く、参謀的な役割を果たしたりすることも多い。だから、自分の仕事を「作品」的に切り出して見せにくいですし、自分が前に出るよりも、「黒子」に徹して裏で支えるという意識が、業界全体に流布したのかもしれません。
嶋:それもわかります。でもそれは、PR業界にとってマイナスともいえる状況を生んでしまったのではないでしょうか。PRパーソンは何ができるのか、どんなことを頼めるのか、それが、業界外にまったく伝わってないですよね。「あの人はPRが全然わかってない」というPRパーソンの嘆きをよく耳にしますが、それは、自分たちがPRについて、きちんと説明していないことに起因していると思います。
吉宮:そうですね。PRパーソンは、自分たちの自己紹介が一番下手かもしれません。ですから、こういったアワードを通じて、世の中にPRの可能性やPRパーソンの多様な「技」を知ってもらうことは重要ですよね。
嶋:そうです。PRパーソンは、相撲の決まり手である「四十八手」にも劣らない、いや、それ以上の多様な「技」を持っています。リスクコンサルティングやメディアトレーニングといった、広告業界の人が知ったらビックリするようなことを当たり前にやっていますよね。PRアワードは、そういったPRパーソンの幅広い仕事をあえて公開することで、「PRパーソンは、実はこんなことができる」ってことを、コミュニケーション業界はもちろん、業界外にも知ってもらうチャンスだと思います。