トップマーケター4人が徹底議論!「デジタルマーケターのキャリアデザイン」

マーケティングというポジションが確立されていない日本企業において、キャリアの構築や職能の生かし方に悩みを抱えているマーケターは多い。あらゆる市場が縮小傾向にある今、継続して成果を出していくことの難易度は高く、どう自身の価値を高めていけばいいのか、若いマーケターにとっては切実な問題だ。ここ1~2年で転職を経験したトップマーケター4人が、これからのキャリアデザインについて議論する。

※本記事は、『宣伝会議』2017年2月号の巻頭特集「デジタルでイノベーション!!時代を拓く45社のブランド構想」の一部を抜粋したものです。全文、および他の記事は、本誌をご覧ください。

本間充氏(以下、本間)
アビームコンサルティング ディレクター

1992年大手消費財メーカーに入社。以後、WEBエンジニア、デジタルマーケティング、マーケティングを経験。2015年に、アビームコンサルティングに入社。多くの企業のマーケティングのデジタル化を支援している。他にも、ビジネスブレークスルー大学でのマーケティングの講師、東京大学大学院数理科学研究科 客員教授(数学)、文部科学省数学イノベーション委員なども務め、産業・科 学の両発展に貢献している。

藤原尚也氏(以下、藤原)
マードゥレクス 取締役 兼 CRM部/法人営業部部長

1996年カルチュア・コンビニエンス・クラブに入社。TSUTAYA店舗運営、ツタヤオンライン事業、DBマーケティング事業の立ち上げを経て、2012年にガシー・レンカー・ジャパンに入社。ニキビケアのプロアクティブを中心としたデジタルマーケティング事業の責任者と してターンアラウンドに貢献。2016年8月からは、化粧品メーカー「エクスボーテ」のマードゥレクス社の取締役に就任し、経営者としてマーケティングやブランド戦略を見直し、事業拡大を目指している。

奥谷孝司氏(以下、奥谷)
オイシックス 執行役員 統合マーケティング部 部長 COCO(Chief Omni-Channel Officer)

1997年良品計画入社。3年の店舗経験の後、取引先の商社に2年出向しドイツ駐在。帰国後、企画デザイン室を経て、衣服雑貨部カテゴリーマネージャー。「足なり直角靴下」を開発し、ヒット商品に。2010年WEB事業部長。「MUJI passport」のプロデュースで第2回Webグランプリ Web人大賞を受賞。2015年10月にオイシックス入社。2016年10月より現職。

富永朋信氏(以下、富永)
ドミノ・ピザ ジャパン 執行役員 チーフマーケティング オフィサー

大学卒業後、コダック社に入社、それ以 来、コカ・コーラ、西友などを経て2014年6月より現 職。うち、ソラーレホテルズアンドリゾーツ、西友、現 職のドミノ・ピザでCMOを拝命。座右の銘はいろいろ あるが、今のお気に入りは「鏡を信じるな」。「日経トレンディネット」に、コラム「売れる理由は必ずある!」を連載中。

—これまでのキャリアと、転職の理由を教えてください。

本間:花王に研究職として入社し、志願して当時のマルチメディア部門に社内転職。その後、インターネットに詳しいという理由から、WEBマーケティングを任せてもらいました。アビームコンサルティングに転職したのは、自分の担当領域の幅をより広げたいと思ったから。これまでの経験を消費財以外の企業にも生かすと同時に、自分でも学びたいと考えました。

藤原:元々はカルチュア・コンビニエンス・クラブでTSUTAYAの店舗運営をしていました。CS放送を始めるタイミングで出向し、ビジネスが撤退した後に本社に戻ってECサイトの立ち上げを担当。マーケティングとしてのキャリアを歩みたいという思いもあって、縁あってガシー・レンカーという外資系企業でダイレクトマーケティングを担当してきました。そして直近で化粧品会社の役員に就任し、同時に自分の会社も立ち上げました。

奥谷:私は良品計画で店舗を経験した後、商品開発を経てWEB事業という立場からマーケティングを担当してきました。オイシックスに移ったのは、ネット企業からオムニチャネルを実現させたいと思ったから。最近のAmazonのリアル店舗オープンなどトレンドを見ていても、その選択は間違っていなかったと思います。本間さんのように学び続けたいという思いもあって、来年から大学の博士課程に入ります。

富永:コダックに入社後、複数の企業を経てコカ・コーラに転職しました。コカ・コーラはマーケティングカンパニーですが、コンビニやスーパーにおけるブランド構築に課題を感じ、チャネル側のマーケティングにいきたいと思うようになりました。そのための転職を経て、ウォルマートにたどり着きました。当時のウォルマートは価格やポジショニングなど問題の中心がマーケティングにあり、楽しく仕事をさせてもらいました。ただ8年もすると課題が一巡し、商品のオペ レーションなどの領域に移ってきた。ドミノ・ピザは先進的なマーケティングを手がけている印象を持っており、オーストラリアで面接を受けて入社しました。

次ページ 「スペシャリストが育ちにくい、日本企業が抱える課題」へ続く

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