[米国メディア事情]早まる一方の年末商戦

「サイバーマンデー」も死語に?

米国では11月第4木曜日の感謝祭翌日、店舗での年末バーゲン初日となる金曜日を「ブラックフライデー」と呼んでいる。それに対し、オンラインショッピングのバーゲンが開始されるのがその週明けの月曜日で、メディアが「サイバーマンデー」と呼ぶようになった。当時の米国は家庭でのブロードバンド普及率が低く、写真など重い画像を含むネットショッピングは一般的ではなかった。そこで連休明けの月曜日に会社のインターネットでオンラインショッピングをする風潮が広まった。

ところが家庭でのブロードバンドが普及し始めた08年頃から、自宅でのネットショッピングが右肩上がりで伸びていった。折しもリーマンショックから市場が冷え込むと、小売業界は店舗より割引率の高い商品をネットで販売し始め、消費者もより安い商品をオンラインに求めるようになった。景気がさらに後退すると、小売業界はオンラインでの年末商戦開始時期を少しずつ早めていった。

消費者データ調査「シモンズ・データストリーム」によると、今年最初の年末用バーゲンセールは早いところでは8月第1週からスタートし、9月最終週に最初のピークを迎えている。同報告書では「8月の『バック・トゥ・スクールフェア』と年末ショッピングとの間にブレークがほとんどない」と指摘している。

感謝祭は日本の元旦のように家族と家で過ごす日で、飲食店以外の店は伝統的に閉まっているものだった。ところが今年は大手デパートや量販店の一部は感謝祭当日から営業している。しかも通常金曜朝4時か5時頃に開店していた店も、今年は3時から、または日付の変わった深夜12時から開店するなど早くなる一方である。依然「ブラックフライデー」は年間で最も店舗での売り上げが一番多い日であるが「サイバーマンデー」は縮小気味で、消費者の間では「年末の買い物は秋から」という意識が芽生え始めている。(松本泰輔)

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