こんにちは、前回に続き、電通CDCの嶋野がカンヌレポートをお届けします。
いきなりですが私、カンヌで財布を盗まれました。
しかも電車故障・UBER詐欺(未遂)も加わるというトリプルスリー。貧乏神ってる。
(来年カンヌに行かれる方は、ぜひ私の財布を探してきてください)
さて、この記事が出る頃には日本でも、カンヌ受賞作は一通り知られて、すでに来年に向かって気持ちも切り替わっているところかもしれません。
そこで今回は、カンヌ受賞作をご紹介しつつ、来年のカンヌはどうなっているかを3つの視点から予測してみたいと思います。
来年の視座1 ジェンダー論の拡張
前回、コミュニケーション手法として「メイク・カンバセーション」を紹介しました。一方、コミュニケーションのテーマとして多かったのは「Fearless Girl」(PR部門はじめ4部門でグランプリ)やKENZO Worldの「Mutant Brain」(チタニウム部門やフィルム部門ゴールドなど)が代表する「ジェンダー論」だと言えます。
来年もおそらく多くの応募作は、ジェンダーにまつわる内容を入れてくると思います。
その中で注目した事例をいくつかご紹介します。
<THE CLICHÉ>※アウトドア部門でゴールド、PR部門、メディア部門でブロンズ受賞
「ハイネケン」のこのパターンはお決まりのもの。それがなぜ受賞したかというと、「女性はサッカーに興味がないから、大事なサッカーの試合の日にはスパとかエステとかに行かせておけばよい」というブラジル社会の偏見を打ち破り、新しいアクティブな女性像を描いたからだそうです。
ボードのテキストにも「ジェンダーのステレオタイプな見方を崩す」としっかり書かれていました。出品者が作品に対して社会性を感じさせるために入れたのだと思いますが、結果としてこの1行は効いたと思います。
<Tecate Beer – Gender Violence>※グラスライオンでゴールド、フィルム部門でシルバー受賞
「TECATE」はかっこいい男のためのビールだから、女性に暴力を振るうような男には飲んでもらいたくない、という強いメッセージの広告。GLASS部門のゴールドです。
この2つに注目したのはジェンダー論訴求が、やや画一的になりつつある中で、新しい表現方法で「女性をもっとアクティベート」したり「男性の立ち振る舞いを変化」させる試みが見られたからです。
その意味で来年のカンヌでも、「ジェンダー論」に対してさまざまな視点・手法・テクノロジーで焦点を当ててくると思います。