医療に対してクリエイティブができることをテーマにした「ホスピタルとデザイン展」が、7月25日までアクシス・シンポジアギャラリーで開催中だ。
スウェーデンでは「人は誰でも文化的に最低限保証された生活を送る権利がある」ことが法律で保証されており、古くから公共施設にアートの力を取り込んできた。
そのスウェーデンの公共建築に適用される「1%ルール」によって、2013年同国の救急病院が行ったアートコンペで世界各国 200名の応募から選出されたのが、デザイナー赤羽美和氏が提案した「JAM」だ。
赤羽氏は武蔵野美術大学卒業後、サントリー宣伝制作部、サン・アドにて多数の広告制作に携わった後、テキスタイルパターンの永続的なストーリー性に魅せられ、スウェーデン国立芸術工芸デザイン大学へ留学、テキスタイル学科修士課程修了。サーフェイスパターンを主なフィールドに、グラフィックデザイナー、テキスタイルデザイナーとして活動するとともに、対話をテーマに人々を招いたプロジェクトを行ってきた。
そんな赤羽氏によるホスピタルアートプロジェクトでは、まず病院関係者と「丸、三角、四角」でドローイングするワークショプを実施。そこで生まれた造形を素材に、赤羽氏が場にアイディンティティを与えるパターンをデザイン。2016年春に完成した。
本展覧会は、赤羽氏によるスウェーデン セント・ヨーラン病院の緊急病棟改築で実施されたホスピタルアートプロジェクト「JAM」の制作プロセスと、京都ルネス病院で同じストーリーで開催されたワークショップの様子、そこから生まれたパターン作品の展示、そして医療関係者、デザイナー、アーティストを交えたトークセッションからなる総合イベントだ。「医療行為・施設においてデザインやアートが成せることとは何か」、それがもたらす新たな状況や、可能性について考えるきっかけになるだろう。
会期中は、さまざまなテーマでトークイベントも開催される。
ホスピタルとデザイン展
会期:開催中、7月25日まで。
会場:シンポジア( AXIS ビル地下 1F)
時間:11時~20時(最終日は18時まで)
入場無料
会期中に開催されるトークイベント(有料・要申し込み)
○7月22日(土)13:00~14:30(受付12:40~)
テーマ:公共空間のコミュニケーションデザイン
登壇者:葛西 薫(アートディレクター)、池田 光宏(アーティスト、長岡造形大学准教授)、赤羽 美和(グラフィックデザイナー、テキスタイルデザイナー)
○7月22日(土)17:00~18:30(受付16:40~)
テーマ:食べることを考える
登壇者:岩間 朝子(アーティスト、料理家)
○7月23日(日)13:00~14:30(受付12:40~)
テーマ:医療の場におけるテクノロジー&デザインの可能性
登壇者:田口淳一(東京ミッドタウンクリニック院長、先端医療研究所長)、田川欣哉(デザインエンジニア、Takram代表)
○7月23日(日)15:00~16:30(受付14:40~)
テーマ:医とテキスタイルデザイン1
登壇者:松崎 勉 (ハーマンミラージャパン株式会社 代表取締役)、神山 まど香(Maharam)
○7月23日(日)17:00~18:30(受付16:40~)
テーマ:医とテキスタイルデザイン2
登壇者:ヌーシャ・デ・ギア(Kvadrat 副社長/ブランディング&コミュニケーション)、皆川 明(minä perhonen デザイナー)