土屋鞄はなぜ、販促物制作からEC・SNS運用まで内製化を貫くのか

企業の資産であるブランドを社員が深く理解し、あらゆる顧客接点で、そのブランドパーソナリティを表現・維持していくにはどうしたらいいのか。ものづくりへのこだわりをSNSやブログで表現し、共感を積み重ね、EC/実店舗の垣根なく一貫した表現でブランドづくりをしている土屋鞄製造所と、同社のEC運用やデジタル施策を支援、それにかかわる人材育成をサポートするフラクタに話を聞いた。

ポイント
◇各チャネルでの顧客向けメッセージは、社内の主要メンバーがすべて確認。
◇カタログの世界観を軸に、ブランドの「らしさ」を社員が共有している。
◇社内研修でデジタル領域の知識を身に付け、ブレのない表現と運用を目指す。

河野貴伸氏
フラクタ 代表取締役

企業のブランディングを推進するサービス・テクノロジーを提供するフラクタを2013年に設立。EC-CUBEエバンジェリスト。
丸山哲生氏 土屋鞄製造所 販売促進部長。職人の手仕事による鞄づくりを手がける土屋鞄製造所の2大事業、ランドセルと大人向け鞄の販売促進(制作クリエイティブ、マーケティング)を統括。

 

丸山哲生氏
土屋鞄製造所 販売促進部長

職人の手仕事による鞄づくりを手がける土屋鞄製造所の2大事業、ランドセルと大人向け鞄の販売促進(制作クリエイティブ、マーケティング)を統括。

 

1965年に一人のランドセル職人から始まり、今では皮革製品の企画・製造・販売
などを行う土屋鞄製造所(以下、土屋鞄)がEC事業を開始したのは1998年。モール型のECサイトに出店することで、Web上の販路を確保してきた。

土屋鞄製造所の丸山哲生氏(左) と、
フラクタの河野貴伸氏(右)。

しかしフォーマットが統一されているモール型では、こだわりの世界観を十分に表現できず、2000年に自社のECサイトを開設。その後SNSも稼働し、以前はユーザー間の口コミが中心だったが、SNS投稿で関心を持ったユーザーが、ブログやカタログを見て情報収集し、ECサイトや実店舗で購入する、という流れが生まれている。

フラクタが土屋鞄のEC運用を支援し始めたのが2010年。当時はサーバーの負荷
がかかりにくい設計やデータの管理など、システム領域の見直しを担っていたが、現在では、土屋鞄の世界観を反映したサイトデザインや運用改善を通じたブランディング支援、デジタル領域の人材育成のサポートも行っている。

土屋鞄の販売促進部からフラクタへは、日々こんな課題が相談される。「製品そのものよりも土屋鞄の想い・世界観に共感していただけるこんなページをつくりたい」。

SNSの投稿に共感できたとしても、急に商品を売り込まれたら興ざめしてしまうもの。だが、そうしたサイトが世の中にはあふれているのも確かだ。「お客さまをとても大切にしている企業だからこそ、こうしたブランドパーソナリティの課題が見えてきます」とフラクタの河野貴伸社長は指摘する。

土屋鞄の世界観を崩さずに、技術的にできることを探る。両社の議論を積み重ねて土屋鞄のECサイトは出来上がっている。

次ページ 「カタログがブランドのバイブル」へ続く



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