「ナイキを創った男」の自叙伝が仕掛ける、書店を巻き込む販促術

※本記事は、『編集会議』特別編としてお送りいたします。

発売から1カ月で13万部を突破し、2017年下半期最高のビジネス書との呼び名も高い『SHOE DOG(シュー・ドッグ)─靴にすべてを。』。世界的なブランド「ナイキ」はいかにして生まれたか。知られざる創業秘話を創業者が自ら赤裸々に語った自叙伝だ。

2016年に米国で発売された原書は、ビル・ゲイツをはじめとするビジネス界の重鎮が絶賛し、累計発行部数は40万部を突破するベストセラーとなっている。2017年10月に翻訳書が発売された日本でも、書店を中心に大々的な展開が目立つ。同書のプロモーションについて、東洋経済新報社の出版局 書籍プロモーション部 部長の笠間勝久氏は次のように話す。

「この本を一言で表現すると『熱狂の物語』です。ビジネス書というカテゴリーにとどまらず、ノンストップノンフィクションとも言えるかもしれません。良いことも悪いことも、惜しみなく書かれている。そんな熱狂をいかに広げられるかという思いでプロモーションを展開しています」

拡材を活用した書店での大々的展開

プロモーションの起点になっているのはやはり書店だ。並べるだけでインパクトがある装丁も手伝って、棚を広く大きくとっている書店が多い。普段から付き合いのある書店員に『SHOE DOG』を読んでもらうと、「面白い!」と反応してくれることも多かったという。

「まずは書店員さんに自分事化してもらうことが重要だと考えていました。熱量のある本だからこそ、書店員さんが面白いと感じた熱量をプロモーションに生かしていただきたいなと。書店員さんに発売前のビジネス書を読んでいただくのはハードルが高いのですが、『SHOE DOG』は500ページもの厚い本を読んだ上に感想をくれる書店員さんも多かった」とマーケティング局営業推進部の島舞衣氏は言う。

実際にティザーサイトに掲載されている書店員からのコメントには熱量を感じることができる。

また、拡材も充実している。紀伊國屋書店新宿本店では、大きな表紙パネルを用いた回転式POPを展開。各店からカスタマイズのオーダーもあり、できるだけ些細なことも対応しているという。

各書店によるSNSを通じたプロモーション。

書店員向けの「手書きPOP大賞」。特典も豪華だ。

「首都圏など都市部の書店さんが大きく展開してくださっていることで注目が集まり、全国の多くの書店さんが手書きPOPや工夫の凝らされた展開をツイッターに投稿してくださいました。こういったところから、これまでつながりのなかった書店さんとも接点ができました」(島氏)。

さらに、書店員向けに「手書きPOP大賞」も実施。2018年1月31日までに『SHOE DOG』の手書きPOPの応募を集め、NIKEギフトカード2万円分をはじめとする賞品も用意している。

次ページ 「ABCマートとのコラボレーションも」へ続く

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