1部では、Ideal Leaders 共同創業者/CHO(Chief Happiness Officer)の丹羽真理氏と産業編集センターはたらくよろこび研究所 企画制作部 部長の相山大輔氏が「ビジョン、ミッションはもう古い? 経営方針の理解と実現のためのコミュニケーション戦略」と題した基調対談を行った。
これまで多くの企業の組織風土の変革支援や経営層のコーチングなどに携わってきた丹羽氏。社員のハピネス向上をミッションとするリーダー「CHO」を自らも名乗り、日本で広めることを目指している。
同氏がこれからの企業に求められていると訴えるのが、「Purpose(会社の存在意義)」をすべての起点にし、戦略立案や意思決定を行う「パーパスマネジメント」だ。中でもインターナルコミュニケーションにおいては特に意識すべきだと話す。
「社員個人のパーパスと会社のパーパスが重なると、社員の幸福度が上がり、結果的に生産性やクリエイティビティも向上します。社内コミュニケーションを活性化させるには、どうすれば社員が幸せになるのかを考えながら取り組んでほしいです」。
企業の社内報の立案や制作に携わってきた相山氏は「何から取り組んだらいいか分からない場合、まずは社員の意識調査などを行い、現状の課題を見える化するところから始めるとよいのでは」と話した。
店舗で働くスタッフにフォーカス
第2部では、ユニー・ファミリーマートホールディングス 広報室付マネジャーの竹内優子氏が登壇した。2016年9月にサークルKサンクスと経営統合した同社。社内の一体化へ向けて、同年12月に加盟店向け社内報『FAMILY』を刷新した。
リニューアルにあたり、広報室では約1万7000の加盟店へのアンケートのほか、社内報を発行する他社へのヒアリングや経営の目指すビジョンの研究を実施。店舗スタッフのモチベーションアップマガジンを目指し、コンテンツを全面的に見直した。
誌面では澤田貴司社長自らが全国の店舗を回る「気合いde突撃」や活躍しているスタッフを紹介する「素顔のHERO」といったコーナーを設けている。
また、2018年の夏からは「会社の今を知る」をコンセプトに週刊で動画ニュースの配信も開始した。竹内氏は「社内広報の敵はマンネリ化と自己満足。現場の声の収集やトップとのブレストを行い、定期的に改善していくことが必要」と話した。
ウェブ社内報との併用も
第3部では住友商事 広報部 部長代理 制作チーム長の江草未由紀氏が2016年に創刊したグローバル社内報『SC One』について紹介した。
国内外に約130の拠点を持ち、金属事業やインフラ事業、メディア事業など多様な事業を展開する同社では、ビジョンや戦略の充分な理解と「組織間連携」が課題となっていた。
そこでグローバル全拠点の従業員に向けた社内報を約1万部発行。「すべての社員に、同じ情報を、同時に、分かりやすく伝える!」を編集コンセプトに、日本語と英語を併記している。内容面では、トップインタビューから事例紹介まで、重要な経営テーマを多面的に伝えることを意識している。
「グローバル広報体制も強化して、社員から信頼され、様々な情報が自然と集まる社内報にしたい」と江草氏。今後は紙媒体だけでなく、ウェブ社内報へのシフトも視野に入れている。
第4部で登壇したのはKDDI広報部メディア開発グループ グループリーダーの中村孝太郎氏。
2000年に第二電電(DDI)、ケイディディ(KDD)、日本移動通信(IDO)が合併して発足したKDDI。2000年に社内報を創刊した当初から「経営方針・重要施策の浸透」「企業風土の醸成」「社内コミュニケーションの活性化」に重点を置いている。
デジタルメディアにも比較的早期から着手し、2014年にイントラネット内に「Web社内報」をローンチしたが、月間ユニークユーザー(UU)が30%程度と低いことが課題になっていた。そこで2018年に紙媒体とウェブの両方をリニューアル。コンテンツの棲み分けや、PCとスマートフォンそれぞれで視認性を高めることで月間UUが閲覧可能な社員のうち60%まで向上した。
中村氏は「メルマガ配信のA/Bテストやコンテンツ配信のタイミングなどを試行錯誤しながらPDCAを回し、より多くの社員に閲覧してもらえるようにしたい」と展望を語っている。
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