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海外市場での“認知”獲得の場として、旅ナカを捉える
吉崎:ポーラは2020年までの企業ビジョンに「世界ブランド」の確立を据えて、世界市場におけるブランドコミュニケーションを再設計しています。ポーラの化粧品は、アジア圏を中心に国外市場からも高い支持を頂いており、特に海外顧客の中で大きな割合を占める中国市場でのプロモーションに本腰を入れはじめています。
一方、訪日観光客向けに特化した日本でのコミュニケーションにも同時に注力し始めているところです。
岩田:訪日観光客向けと言うと、爆買いなど“現地の消費”を目的とした施策のイメージが強いと思いますが、世界市場での販売を見据えるブランドにとっては、日本での旅行体験が現地の消費につながる“認知”獲得の場であるとも捉えられます。まずは日本での旅行中に、企業ブランドの価値観に触れてもらい、ファンになってもらう。そして旅行後に、口コミでブランドが広がっていくことが理想です。
吉崎:今回私たちがhi Japanさんが提供する「handy」を活用させていただいたのも、企業ブランドの持つ価値観を訪日観光客に伝え、ポーラの提供する特別な「美」体験をして頂くためです。「handy」の画面上で告知ができるだけではなく、「LUXOS MAGAZINE」という雑誌媒体もお持ちであることがhi Japanさんの魅力。今後、雑誌を含めたストーリーを描いて情報をお届けできそうだと感じました。
岩田:「LUXOS MAGAZINE」は欧州・中東・アジアを中心に、宿泊施設に設置される富裕層向け旅行雑誌です。富裕層の旅行者は、旅行の目的が徐々に買い物から“体験”にシフトしている傾向があります。化粧品を通して人の肌を美しくするだけではなく、美術館やアート体験などを通じて、「心の美」を提供しているポーラさんだからこそ、企業としての精神性や提供する体験は、訪日観光客にも響くと感じました。
「美の体験」を担う企業ブランドそのものを訴求
吉崎:一回目の取り組みは、2018年7月に銀座で行ったコーポレートブランド体験イベントの告知と誘導。二回目は、より訪日観光客の方のニーズを意識したコミュニケーションで、「ポーラ銀座ビル」での美体験を訴求しました。ポーラ銀座ビルは、地上12階、地下2階におよぶ美の発信スペースで、旗艦店「ポーラ ザ ビューティー 銀座店」やアートギャラリー、銀座初出店のレストランなど、「美容」「美術」「美食」を体験できる場所です。
岩田:中国の大型連休であり旅行者増が見込める国慶節に合わせて、ポーラ銀座ビルの情報を発信しました。今「美ンバウンド」という言葉があるほど、美容に対するインバウンドが高まっています。特に日本には、エステやおもてなし、クオリティの高い化粧品などに加えて、温泉や美食、アートなど心の美容を期待して訪れる人が多い印象です。
インバウンド向け施策、特に中国人向けの場合は、クーポンや割引を大きく打ち出して集客することが多いのですが、今回はあえて「お得」感を前面に出しませんでした。それでも、Wi-Fiを使って測定した送客効果を見ると、一度目の取り組みについては、通常の期間と比べて広告を配信した期間に「handy」を持った人の来客数が1.7倍と増加していました。
吉崎:二度目の取り組みでは「handy」を見てポーラ銀座ビルに来客した人にサンプルをお配りしたのですが、こちらも「サンプル配布」を大きく打ち出していなかったにもかかわらず、ある程度の反応が見られました。
岩田:こうした取り組みから、訪日観光客の半数がリピーターである今、目的がモノではなく体験にシフトしていることを示していると実感しました。
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