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新聞は、意外とSNSとの相性がいい
新聞は、2017年に引き続き2018年も部数が減少傾向にあり、新聞メディアの活用は今、大きな転換期を迎えています。これまでのリーチメディアとしての役割にくわえ、新聞ならではの特性とクリエイティブを掛け合わせた手法が最近はとても目立つようになりました。
世の中ゴトのテーマ、たとえば令和初日などは新元号に合わせたクリエイティブが話題になりました。昨年では自社の社名変更をテーマとした新聞広告であったとしても、その広告自体にインパクトがあったことからSNS上で拡散されることもありました。新聞は手元に残るメディアですし、世の中ゴト、世間に発信したい内容とクエイティブがマッチすることで大きな影響力があると実感できる事例もありました。
今後は、消費増税、東京オリンピック・パラリンピック、SDGsなどの環境問題、2025大阪万博、統合型リゾート(IR)など世の中ゴトの話題が目白押しなので、時節に合わせたプロモーションとして新聞メディアへの検討機会が増えていくと思います。
新聞社の進めるデジタル化、プロダクション化への可能性
新聞広告は、既存のシニア層やビジネスパーソンへのリーチ力が高いだけでなく、新たに、ID活用やさらなるデジタルメディア化が進んでおります。日経新聞では、日経ARアプリを新聞広告にかざすと動画が見えるような仕組みを設けているほか、紙面ビューワーを使って、広告を誰が何秒閲覧したかといったデータを取得し、レポーティングする体制を2018年12月にスタートしました。
また朝日新聞は、雑誌のように特定のテーマ・ターゲットに絞ったバーティカルメディアと呼ばれるデジタルメディアを複数展開し始めています。読売新聞も新たに読売新聞オンラインを立ち上げ、購読者に対して無料で開放して、ユーザー満足度の向上を目指しています。こうしたデジタル化によって効果測定しやすい環境が整いつつあります。
さらに、新聞社がコンテンツの企画から制作までを行うブランドスタジオは、制作されるコンテンツに新聞社の記者やカメラマンが携わるため、コンテンツの質の高さや新聞社ならではの信憑性の高さが強みになります。今後、新聞社は単なるメディア媒体社だけでなく、信頼性というメディア特性を活かしたプロダクション機能としてもビジネスを広げられる可能性があります。
平田尭大
博報堂DYメディアパートナーズ 関西支社メディアビジネス局新聞部