ホプキンスから始まった「これまでの広告はオワコン」!?広告の歴史を学ぶ その①

アカウントプランニングを生んだBMP出身のポール・フェルドウィック

©123RF

私が20年前に外資系エージェンシーの営業として働いていたころ、その会社が属するグローバルネットワークが企画する大々的な研修プログラムを経験しました。

その内容は、合宿形式でワークショップを実施するもので、いわゆる「クリエイティブブリーフ」だったり「ブランド構築」に関するもの。当時のエージェンシーの仕事に必要な共通スキルばかりでした。今にしてみると、それが自分にとって初めて体系的に「広告に関する理論的フレームワーク」を学んだ経験だったことは間違いありません。実際それをきっかけに自分はそういった類の本を読むようになりました。

最近、読んだ本で役に立ったのがポール・フェルドウィック氏の『Humbugの解剖』です。ポール・フェルドウィック氏は私が90年代半ばに所属していたオムニコムグループ傘下のDDBワールドワイドというグローバルエージェンシーの戦略プランニングのヘッドを務めた人です。彼から直接学んだことはありませんでしたが、その名前は研修ツールによく出てきたので、覚えていました。

というのも彼は当時、広告業界を賑わせていた「アカウントプランニング」を生み出したエージェンシーのひとつ、英国「ボース・マシミ・ポリット(Boase Massimi Pollitt)」出身で、その後BMPがワールドワイドのエージェンシーに吸収されて、そこのグローバルの戦略ヘッドになったからです。彼は今やエージェンシーを辞めて個人でコンサルタントをしつつ英国のビジネススクールで教えているそうです。

そのようなフェルドウィック氏が2015年に出版したのが、先の『Humbugの解剖』です。これは自身の経験に基づく「広告理論」に関するものです。タイトルのHumbugとは馬鹿げたもの、ペテン、嘘などの意味をもつ俗語で、ここでは「広告」のことを指しています。元はBBHから頼まれて「広告に関する理論」についての歴史と概観についての講義したことをベースに書かれています。

その内容は、「アドタイ」読者の方にも非常に役に立つと思いましたので、このコラムでは数回にわたってそのフェルドウィック氏の本に基づいて、広告の理論について書いていきたいと思います。

次ページ 「広告は昔からロックなビジネスだった?」へ続く

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鈴木健(ニューバランス ジャパン マーケティング部長)
鈴木健(ニューバランス ジャパン マーケティング部長)

1991年広告会社の営業としてスタートし、ナイキジャパンで7年のマーケティング経験を経て2009年にニューバランス ジャパンに入社し現在に至る。ブランドマネジメントおよびPRや広告をはじめデジタル、イベント、店頭を含むマーケティングコミュニケーション全般を担当。

鈴木健(ニューバランス ジャパン マーケティング部長)

1991年広告会社の営業としてスタートし、ナイキジャパンで7年のマーケティング経験を経て2009年にニューバランス ジャパンに入社し現在に至る。ブランドマネジメントおよびPRや広告をはじめデジタル、イベント、店頭を含むマーケティングコミュニケーション全般を担当。

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