顧客の購買行動をいち早くマーケティングオートメーションで把握する
BtoBマーケティングが必要とされる理由について、セールスフォース・ドットコムの秋津氏は次のように解説した。
「近年、お客さまの購買行動が大きく変化しています。これまでは購入予定の商品を、なじみの営業マンに話を聞いていた。そのため、営業マンとの商談は複数回にわたり、その中で商品説明やさまざまな交渉を行うことができた。ところが、現代の顧客はあらゆる情報源を使って購入予定商品を調べ上げてから、営業マンに問い合わせるスタイルになっている。つまり、営業マンは個別の提案を行うことすらできず、問い合わせを受けた時点では価格や納期の調整しか対応できないのです。」
また、企業側には、人的リソース不足という問題がある。そのため、テクノロジーをつかった業務の自動化や、複数人で対応できるようにビジネスプロセスをつなげなければならない。
これらの課題を解決するために重要になるのがSFA/MAの役割だと秋津氏は言う。
営業とマーケティングのプロセスをひとつのプラットフォームでつなげる
「マーケティングと営業がつながっていなければ、営業活動で漏れたお客さまを再度育てることができません。『Salesforce』の一番のメリットは、営業とマーケティングのプロセスがひとつのプラットフォームで統合されたデータとしてつながっていること。これによって、大切な予算を投じて獲得した見込み客を最大限にフォローできるようになります。」
営業支援システムと連携して案件をつくるプロセスを、秋津氏は同社の「Sales Cloud」と「Pardot」を使って説明した。「当社のツールの強みは、見込み客のオンライン情報、オフライン情報がひとつの画面で確認できること。たとえば、どんなプロセスを経て企業HPまでたどり着いたのか、訪問した営業は何を提案したのか、まですべて見ることができます。」
見込み客の反応に合わせて次のアプローチを自動的に行う
現在、最も使われているマーケティングチャネルであるEメールも、簡単に最適化できると秋津氏は述べた。
「メール送信後はレポートが上がってくるため、開封率やクリック率などが把握できます。また、どんなデバイスで閲覧したのかや、メーラーの種類まで理解した上で、受信されるお客さまに最適なメールテンプレートをつくることができます。」
それを元に今度は対応の自動化を図っていく。たとえば展示会に来てくれたお客さまにメールを送り、その反応によって次のメールが自動的に送られる。決裁権をもつ相手には営業が直接連絡を入れるなどのシナリオを最初につくってしまえば、そのシナリオ通りにMAが顧客との接点を構築してくれるのだと説明した。
「現在では、見込み客がどのぐらいの確度なのかを人工知能が予測し、担当者の日々の活動をアシストしてくれるようになっています。マーケティングと営業の連携によって効率は上がりますし、ポテンシャルの高いお客さまに対してより活動を集中できるようになります。」
最後に、クラウドやITツール導入の機運が高まっている福岡会場の来場者に、テクノロジーを活用することで、“人間にしかできない活動”にフォーカスできる仕組みを整えていただきたいと伝え、セッションを締めくくった。