ブランドを浸透させ、自然に伝えるためのインターナルブランディングの基本プロセス

企業のEC運用やそれに関わる人材育成、ブランディング支援を手がけるフラクタ。10月24日に、宣伝会議と共催で「ブランディングスクール」を開講した。1~2部を紹介したPart1(2019年10月号掲載)に続き、本プログラムの模様をレポートする。

眞喜志康人氏が、ブランドの共通認識を構築するインターナルブランディングの進め方について解説した。

「ブランディングスクール」はフラクタと宣伝会議が共催する、企業コミュニケーションに携わる担当者向けのセミナー。実践形式のワークショップを交えながら、フラクタに所属するブランディングの専門家がテーマごとに講義を実施するプログラムとなっている。

目的によって施策は変わる

第1部ではフラクタの村中花梨氏がブランドを明確にするポイントを紹介。第2部では、同社の狩野雄氏が自社ブランドの具体化(言語化と視覚化)の方法をワークショップ形式でレクチャーした。続く第3部では、同社の眞喜志康人氏が登壇。ブランドの共通認識を構築するインターナルブランディングの進め方について解説した。今回は主に第3部をレポートする。

インターナルブランディングは、企業・事業の本質に対する従業員間の認識をそろえ、コミュニケーションの活性化やモチベーション向上につなげる手法。例えば、社内報・社内総会・社内コンテストなどの施策がある。

眞喜志氏は「近年は、働き方の多様化や人材の多国籍化、女性の社会進出などの社会の動きと連動して、インターナルブランディングに対する関心が高まってきています」と説明する。

ただ、「やみくもに施策を実行するのは危険」だという。まずは、社内でワークショップなどを開き、企業や事業の本質(ブランドコア)を抽出して定義するところから始める必要がある。具体的な施策は、ブランドコアを社内に浸透させる段階で考えればいい。「目的によって効果的な施策は変わります。ですから、まず達成したい目標を設定し、そこに到達するまでに必要な道筋を定める。そして、達成度の確認ができる指標を用いて計測するというプロセスが求められるのです」と眞喜志氏は話す(図1)。

具体的な施策を考える際には、一般的な手法に自社の独自性をプラスする形が理想。施策に対するモチベーションアップが図れるほか、自社の得意分野を活かせるため、コスト削減にもつながるからだ。

出所/フラクタ

施策実行前の動きもポイント

施策の実行段階では、管理側と現場の円滑なコミュニケーション設計が肝になる。トップダウンで従業員が受動的になってしまうと、自分ごと化しづらくなってしまう。「自社のブランドをつくるのは自社で“働く人”。経営・マーケティング・製造・店舗など様々な人が関わり合うからこそ、コミュニケーションが必要です」と眞喜志氏。

さらに、2つの社内課題の例に対して、それぞれ適切な施策を紹介した(図2)。?️従業員の意識を統一するために理念を整理し、可視化したい ?️離職者を減らすために従業員の満足度を上げたい、というケースで、それに対する具体的な施策は図2の通りだ。

出所/フラクタ

ただ、施策を実行するうえでの留意点もある。?️は、施策の先にある成果が想像しづらいこと。?️は、そもそも従業員が理念に共感しているどうかが不明であることだ。「事前に展望を共有したり、従業員アンケートや面談を実施したりするなど、施策を始める前の動きがポイントです」。

フラクタでは2018年12月、このノウハウを応用し本社内に「FRACTAブランディングスペース」を設立した。目標は「学ぶ・体感する・感動する機会を創出すること」と「コミュニケーションしやすい環境とすること」。そのための施策として、「ブランディングスペースを活用した学習や交流」を実行している。「インターナルブランディングにおいても、効果測定を継続的に実施して根気強くPDCAを回していくことが大切です」と話し、会を締めくくった。

フラクタ
ブランドストラテジックプランナー
眞喜志 康人氏

 



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