突然だが、あなたの会社のウェブサイトに載っている社長のポートレートを思い浮かべてみてほしい。「腕組み」をしていないだろうか。
実は、企業トップのポートレートでは「腕組み」は御法度。見る人に与える無意識の心理的マイナスイメージの代表例である。
実際、世界中のトップのポートレートを見ると、自然な笑顔の写真ばかりが並んでいる。これも、日本企業との違いだ。笑顔は自信と余裕の表現であり、見る相手に対して確実にポジティブな印象を与えるものなのだ。
はじめまして。NYと東京を拠点に、世界基準で企業とトップ・エグゼクティブの総合ブランディングを行うReal Cosmopolitan Inc. CEOの日野江都子です。この連載では、日本企業のグローバルブランディングと、それを体現する経営者のプレゼンス(存在感)について、前述のように実例を用いて解説していきます。
日本人は自分たちがグローバルだと思っている?
グローバル化と言われ始めて、もう何年経ったことだろう。そして、グローバル化と言われながら、実際日本はどれだけグローバル化しているのだろう?このことは、日本を外側から見るにつけ、そして年4回、季節ごとにある日本出張で東京に来るたびに思い続けていた。それは2019年が終わっても変わらない。そして、ずっと先かのように思っていた2020年は、気づけばもう「ここ」にある。
グローバル化と言われ始めてしばらくたった頃(おそらく15年くらい前)に読んで印象に残っている記事がある。それは、日本及び日本企業の残念な点・弱点ということで指摘する内容のものだった。
「日本は自分の国がグローバルだと思っている。しかし、他のアジアの国は、自分たちはグローバルだと思っていない。だからこそ彼らはどうしたらよりグローバルになれるのかと考えて行動をしている。日本は自分たちがグローバルだと思っているため当然それをしない。近い将来完全に国際舞台での存在感として追い抜かれるだろう」。
まさにそれが世界を背景にして、目の前で起こっている現在の状況に見えてならない。
そんな今だからこそ、日本企業が世界を舞台にビジネス展開する際のブランディングとして大事なこと、そして企業の顔であるトップ・エグゼクティブのプレゼンスを通じた情報発信の重要性と具体的なポイントについて、改めて解説しようと思ったのが、この連載開始のきっかけとなっている。
今回は連載第一回ということで、企業イメージを一瞬にして印象付け、トップ・エグゼクティブのプレゼンス(存在感)を魅力的に伝える、まさに企業ブランディングとして絶対に手を抜くことのできない、社長の広報写真である「エグゼクティブ・ヘッドショット」「ポートレート」について触れていこう。