何か情報を発信しても「意図通りに解釈されなかった…(しょんぼり)」ということは往々にしてあるものですが、今回紹介したいのはこの記事です。
ホテルで男子会、意外とヒット 週末にスイーツオフ会―asahi.com
この記事、一部の人から妙にアツく語られるトピックとなりました。記事の内容は、「ヒルトン小田原リゾート&スパ」のプランのことで、概要は以下の通りです。
男同士がホテルに集まり、1泊2日を過ごす「男子会」が意外な人気を集めている。30~40代の中年男性が多く、ケーキやプリンを好きなだけ食べられるプランが一番人気だ。好評だったことから、ホテルでは期間を延長し、今月末まで受け付ける。
この記事の主旨は「女子会だけではない」「スイーツ好き男子もいるよ」という点にあるのですが、純粋に「すごい時代になったものだ」という感想は出たものの、まったく別の捉えられ方もされてしまいます。
2ちゃんねるでは「【レジャー】男同士がホテルに集まり1泊2日を過ごす「男子会」が人気」というスレッドが立ったのですが、内容はといえば「アッー!」の書き込みの連続です。この「アッー!」が一体なんなのかは、こちらを参照していただきたいのですが、要するにゲイ関連の用語ですね。スレッドは一気にこの流れに。もはや「ヒルトン」は何も関係ありません。
記事を書いた朝日新聞の記者がその展開を予測していたかどうかは不明ですが、意外とネット上でどんな反応を受けるのか? という点については予想がつくものです。たとえば、最近のプレスリリースを例に見てみます。この見出しを見て、何を思いつくでしょうか。
【1】均等法バリキャリとイマドキ女子 仕事と恋愛…女の生き方考えるセミナー開催(朝日新聞ジョブラボ)
【2】「ハピスマ大学」開校のお知らせ(ネクスティア生命保険株式会社)
【3】アサヒ飲料、夜のリラックスティー「アサヒ ティオ カシスオレンジティー PET510ml」を発売(アサヒ飲料)
以下、私が思ったことです。
【1】博多のとんこつラーメンか! それは「バリカタ」か…。でも、「バリキャリ」って死語じゃない? あと、このセミナーの内容がネットに出たら主婦層からの反発すごそう…。
【2】スマップが人々を幸せにする大学作ったのか?
【3】ウヒヒ、ちょっとHな気持ちになるお茶なのかな?
すいません、元々下世話な人間のせいで、こんなことを思ってしまうわけですが、上記3つのプレスリリースが記事化され、人々が感想を書くとしたら私と同様の発言をする人は出ます。
読み手の感想を私たちがコントロールするのは不可能です。それなのについ企業人は「どうしてそう解釈するの!」と思ってしまいます。しかし、そうやって逆ギレするよりも、人々が食いつく「突っ込みポイント」をおおらかな気持ちでいくつか用意しておいた方が人々の口の端にのぼり、結果的に「人気のある記事」に昇華するもの。前出「スイーツ男子がホテルにお泊り」には「アッー!」を想起させ、皆で盛り上がる突っ込みポイントがあったのですね。
まったく人の口の端にのぼらなければネットの世界では「なかった」ことと同じです。ブランドイメージ云々を守りたくなるのは分かりますが、ネット上では滅多に「ブランディング」と「拡散」は両立しないものです。むしろ人々が意外な反応をするのを楽しんでみてはいかがでしょうか。
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