国内の総広告費は6兆9381億円で、8年連続のプラス成長に
電通が3月11日に発表した「日本の広告費」の発表によると、今回より新たに「物販系ECプラットフォーム広告費」と「イベント」領域を追加推定し、2019年の国内広告市場は6兆9381億円となった。なお、前年同様の推定方法では6兆6,514億円(前年比101.9%)となり、2012年にプラスに転じてから8年連続で前年を上回る結果となった。
2019年は、不透明な世界経済や相次ぐ自然災害、消費税率変更に伴う個人消費の減退や弱含みのインバウンド消費など厳しい風向きの中、成長を続けるインターネット広告領域やイベント関連が総広告費全体を押し上げる結果となった。
インターネット広告費がテレビ広告費を超える
インターネット広告費は新設項目を加えて2兆1,048億円、前年同様の推定方法の場合、1兆9,984億円(前年比113.6%)と6年連続で二桁成長。テレビメディア広告費(地上波テレビ+衛星メディア関連)の1兆8,612億円(前年比97.3%)を超える結果となった。
大規模プラットフォーマーを中心に堅調な伸びが続き、マスコミ四媒体事業者が提供するインターネットサービスにおける広告費「マスコミ四媒体由来のデジタル広告費」や今回追加推定の「日本の広告費」における「物販系ECプラットフォーム広告費」(新設項目)が全体をさらに押し上げた。
マスコミ四媒体由来のデジタル広告費は715億円(前年比122.9%)。マスコミ媒体社のデジタルトランスフォーメーションがさらに進み、インターネット広告費より高い成長率となった。長年蓄積してきた非デジタル領域でのコンテンツ制作やユーザーへのリーチ(到達率)に関する知見が、デジタル領域においても広く活用されている。
今年も減少が続くマスコミ四媒体広告費
5年連続の減少となったマスコミ四媒体広告費は、2兆6094億円となった。改元、消費税率変更、世界的なスポーツイベントなどにより、好調な四半期があったものの、通期では長期的な低下傾向が継続した新聞広告費は4,547億円(前年比95.0%)。デジタルやプロモーションへの広告費シフト、雑誌発行部数の減少などで雑誌広告費は1,675億円(前年比91.0%)。
前年に続き減少したものの、横ばい傾向と言え、デジタルと組み合わせた新しい広告手法が進化しているラジオ広告費は1,260億円(前年比98.6%)。地上波テレビが、長梅雨・冷夏・台風といった天候不順や自然災害、また米中貿易摩擦による厳しい経済状況の影響を受け、テレビメディア広告費(地上波テレビ+衛星メディア関連)は1兆8,612億円(前年比97.3%)となった。
広告業が取り扱うイベント領域を拡張推定した「イベント・展示・映像ほか」を改訂したプロモーションメディア広告費は2兆2239億円だった。なお、前年同様の推定方法の場合、2兆436億円(前年比98.8%)となる。屋外広告3,219億円(前年比100.6%)、交通広告2,062億円(前年比101.8%)が微増となり、その他は前年を下回った。
業種別では、21業種のうち3業種で広告費が伸びた。消費税率変更に伴う各種関連広告などが増加した「官公庁・団体」(前年比129.9%)、電力・ガス自由化関連広告などが増加した「エネルギー・素材・機械」(同108.1%)や通販系サプリメント広告などが増加した「食品」(同100.2%)の3業種が増加となった。
2019年の「日本の広告費」は、コロナウイルス感染症の影響で2月27日に説明会がオンライン中継で開催予定であった。その後、同社にてコロナウイルスの感染者が発生し、全社員がリモートワークになったことなどを受け、一度発表日自体が未定となっていた。