コロナ禍で苦しむ地域飲食店を救え! 位置情報ビッグデータの活用で新商圏を開拓し、ポスティングを最適化

特設サイト:「人の流れ」を可視化する位置情報ビッグデータの活用」はこちら

新型コロナウイルスの感染拡大の影響で、各地域の飲食店は苦境に立たされている。そんな中、地域経済活性化の研究を行う同志社大学大学院総合政策科学研究科 柿本研究室 所属 櫻井勇希氏と、位置情報ビッグデータ活用プラットフォーム「Location AI Platform™(以下LAP)」の開発・提供を行うクロスロケーションズが連携し、京都の人気飲食店「酒場トやさい イソスタンド(以下、イソスタンド)」の新商圏解析実証実験を実施。「イソスタンド」のテイクアウト・デリバリーサービスの利用が見込まれる地域を絞り、ポスティング施策を行ったことで、デリバリーの売上増加を実現した。
コロナ禍で苦しむ地域の店舗に対し、位置情報ビッグデータはいかなる支援・貢献ができるのか。地域経済活性化のための活用とは。取り組みの全貌と、今後の可能性を聞いた。

同志社大学大学院総合政策科学研究科 柿本研究室 所属 櫻井勇希氏
五十家コーポレーション 酒場トやさい イソスタンド 店長 四方大輔氏
クロスロケーションズ 取締役COO 猪谷久氏

3月末から来客数が激減した「イソスタンド」、テイクアウトを実施するも、課題は認知

—今回の取り組みの経緯を教えてください。

四方:私たち「イソスタンド」は、京都の四条烏丸エリアに店舗を構える飲食店です。日頃は観光客や地元のお客さまがいらして、毎日忙しく営業していたものの、3月末、新型コロナウイルスの感染拡大に伴って、一気に客足が激減しました。通常通りの営業が難しい中、テイクアウト・デリバリーサービスを開始。サービスを周知させたいものの、Instagramのアカウントで告知をしたのみでした。

私たちはこれまで、宣伝費ではなく、店舗でのサービスや料理にコストを割こう、という方針でやってきたため、ポスティングなどの販促経験がほとんどありませんでした。そんな時に、櫻井さんから「位置情報ビッグデータを活用した効果的なポスティング方法がある」と提案を受けました。

櫻井:私は普段、同志社大学で、地域経済の活性化をテーマに研究をしています。具体的には、位置情報やSNSデータを活用し、その地域に、どこから、どのような人が、何を期待して来訪しているかを明確にすることで、効果的なプロモーションを実施すること。そして、その地域の事業所で賄えるものづくりなどはできるだけその地域で行うことで、地域にお金が落ちる仕組みをつくることを目標としています。

研究の過程でクロスロケーションズさんの存在を知り、観光地集客のための位置情報ビッグデータ活用について、連携して実証実験を行おうと画策していた最中に、新型コロナウイルスの感染拡大が起きました。私自身も客として訪れていた「イソスタンド」さんの状況を聞き、何か力になりたいと考えました。

猪谷:新型コロナウイルスの影響で、店舗も、観光地も、「集客」そのものが難しくなっています。テイクアウトやデリバリーへとシフトする飲食店が増えたものの、店舗という接点を持てなくなってしまうと、お客さまがどこから来ていたのか、お客さまとどうつながればいいのか、わからなくなってしまう。

「イソスタンド」さんは京都の人気店ですから、これまで訪れていた方たちの中に、テイクアウトやデリバリーのサービスをぜひ利用したいと思う方々がいるはずです。ですので、ポスティングをするにも、とりあえず「店舗の周辺5km」など周辺エリアに一律で配布するより、これまで「イソスタンド」さんを訪れていた人が多いエリアに配布したほうが効率的だと考え、そのための商圏分析を行いました。

商圏エリアの分析で、店舗から離れたエリアに見込み客を発見

—商圏分析はどのように行ったのですか。

猪谷:まずは我々の提供するLAPのポテンシャル分析を使って、「イソスタンド」さんの店舗を訪れたことのある人々の居住エリアを推定し、その中でも、今後も来店する可能性が高いと判断された人々の居住エリアを抽出しました。

ポテンシャル分析の結果、2ヵ所の居住エリアが抽出された。

櫻井:ポテンシャルが高いと抽出されたのは2カ所でしたね。1カ所は、店舗からほど近い、中京区・下京区。もう一箇所は、店舗から約5km離れた北区・左京区でした。ここは20代の単身世帯も多く居住している地域です。

四方:もともと、お客さんがどのエリアから来ているかは全くわからなかったので、結果を見て「そうなのか」と。北区・左京区はバイクで15分くらいの距離で、このデータがなければ、ポスティングの対象にならなかったかもしれません。ただ、デリバリーも可能ですし、ポテンシャルがあるのなら、ぜひやりたいと思いました。

猪谷:そこで、ポテンシャルの高いエリアのみ、全戸配布のポスティングを4月21日より開始しました。チラシの制作・配布にあたっては、効果的なDM配信を実施する「オフラインDM」サービスを活用。このサービスは昨年12月から始めたもので、DMの配達については、クロネコヤマトのグループ会社であるヤマトダイアログ&メディアと連携しています。

実際にポスティングされたチラシ。

—ポスティング後の反響を教えてください。

四方:ポスティング配布の2日目から、「チラシを見た」という注文が急増しました。デリバリーも、ポスティングを行なった北区・左京区からの注文が多く入り、効果を実感しました。

櫻井:昨年の「イソスタンド」さんへの来訪者のエリア分析と、ポスティング配布後のエリア分析を比較すると、ポスティングを行なった北区・左京区の利用者数が増えていることがわかり、位置情報データ上でも、効果が見えています。

四方:ありがたいことに、デリバリー・テイクアウトのサービス開始前と比べ、利用者や売上は増加しました。通常営業していた時期と比較しても、回復傾向を示しています。特に祝日や日曜の夜という、通常の店舗営業時ではお客さまの引きが早い時間帯の新たなテイクアウト・デリバリー需要も感じています。

また、以前系列店を利用してくれていた常連客の方から「子供が生まれて、お店に行けなかったけれど、テイクアウトでまた楽しめて嬉しい」といった声をいただいて、テイクアウトをやってよかったと思いました。そうしたニーズがあるんだ、と知れたことも、印象的でしたね。

店舗支援から、地域経済支援へ 位置情報ビッグデータで経済再生の後押しを

櫻井:今回の「イソスタンド」さんでの成果をふまえて、引き続き、第2弾・第3弾のポスティングを計画しています。まず第2弾は、「京都の街を元気づけよう」という意思に賛同された四条烏丸エリアの飲食店約10店と協力し、新たにポテンシャルの高いエリアを推定。共同チラシの配布を計画しています。また、デリバリーサービスが増え、競争が激化していることから、第3弾では、チラシにいかに気づいてもらえるか、ポスティングの行為そのものを周知させられるような取り組みを行いたいと考えています。

コロナが収束するまでは、ピンチに陥った京都の飲食店さんたちを守るための仕組みづくりに尽力します。その後は、この取り組みで得た知見を、地域経済活性化や、観光地集客などに生かしていきたいですね。

四方:今回の件で日中や夜のテイクアウト・デリバリーへの需要があるとわかったので今後、営業時間を通常に戻したとしても、何らかの形で継続できるような仕組みを考えていきたいです。また、LAPの画面を見せていただいて、大阪や東京などのエリアにも「イソスタンド」のポテンシャルがあるとわかりました。今後、食材や料理キットなどのオンライン販売などの新規事業や、新店舗出店などを考える上でも、位置情報ビッグデータを活用したいと思っています。

猪谷:今回の取り組みで、位置情報データが地域社会に貢献する、と示すことができたのは、私たちにとっても嬉しいことでした。今後、経済が再生していく過程では、「今、街にどれくらい人が戻ってきていて、いつから営業再開できるか、人の流れはどのように変わっているか」などのデータも必要になってくると思います。位置情報ビッグデータは、ビジネスを復活させていくためにも貢献できるのです。

営業再開に向けて、または、テイクアウトや遠方販売などの新規事業などの挑戦についても、位置情報ビッグデータを活用した効果的なマーケティング支援を行っていきたいです。

今回の取り組みの詳細をまとめた資料のダウンロードはこちらから


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