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先行きの不透明な時代に、着実にプロジェクトを進めていくためには
『見通し不安なプロジェクトの切り拓き方』
どうしても「プロジェクト」が、“予定どおり”進まない――こうした悩みを持たれる方は多いと思います。プロジェクトにかかわる人が誠実に自分の役割を全うしようと頑張っているのに、どうもうまく進まない。力強く推進するプロジェクトマネージャーがいればよいのですが、引く手あまたで招聘は難しく、かといって育成するのも困難です。
『見通し不安なプロジェクトの切り拓き方』で伝えているのは、当初の計画通り進まないことを前提に、それでもプロジェクトで成果を収めるにはどうすればいいか。優秀なプロジェクトマネージャーが不在でも、特別な訓練を受けた人がメンバーでなくても可能な、プロジェクトの進行方法です。
プロジェクトが立ち行かなくなる状態の原因は、意思疎通の障害。メンバー同士が「求められているものは何か」「自分は何をやりたくて、何ができるのか」「自分たちはどうなりたいのか」を共有するやり方を、仔細に伝えています。
巻末には、映画監督の押井守氏と著者との対談も収録。「商品」と「作品」のバランス、スタッフ全員の「脳」を借りる方法など、押井監督の「プロジェクトの進め方の技術」の一端を明らかにしています。
不確定要素によって、いつ、どんな軌道修正を求められることになるかわからないいまこそ、ぜひお役立ていただきたい本です。
問題解決につながる、顧客の根本的な〈不満〉を見つける
『ほんとうの欲求は、ほとんど無自覚』
お客さまの声に応えているはずなのに、成果が挙がらない――そんな慢性的な徒労感を解消するための本が『ほんとうの欲求は、ほとんど無自覚』です。
顧客志向の旗印の下、お客さまの要望を聞いているにもかかわらず、どうにも空回りしている印象が拭い去れない。ともすれば、その空回りの責任を自分や他人に帰してしまいがちですが、そんなことはない、というのがこの本の重要な主張のひとつです。
徒労に終わってしまう原因は、その要望が、お客さまの問題を解消する根本的な〈不満〉ではないから。『ほんとうの欲求は、ほとんど無自覚』では、こう説明します。
人間は、正確に自分の心のうちを表現することは難しいものです。しかし、何らかの意見を求められたとき、「世の中でよく言われがちなこと」「こう言っておけば問題ないと思えること」を伝えれば、自分も周りもとりあえず納得させることができます。「表面的な不満」の多くは、こうした理屈づけによって、自分のもやもやした感情や、あまり考えようとしていない気持ちを説明しているのです。
では、問題の解決につながる本質的、根本的な〈不満〉は、どうすれば見つかるでしょうか。『ほんとうの欲求は、ほとんど無自覚』で紹介しているのは、4つのステップでわかる「ほんとうの欲求を見つけるフレームワーク」。著者らが、16年間700案件を超える実務を通じて探求した、「言葉にできない欲求」を探る方法です。
顧客自身が自覚していないネガティブな気持ちを見つけることが、優れたアイデアへ至るための第一歩となります。
マーケティングにおけるデータ活用の王道を総ざらい
『社内外に眠るデータをどう生かすか』
勘と経験と度胸で仕事をこなしてきた営業マンが、突然、マーケティング課長に。データの扱い方を学びながら新事業を開発し、経営陣へのプレゼンに挑む――。
ストーリー仕立てでありながら、自社の現状把握、仮説設定、企画立案という実務の流れに沿い、データを活用する方法を具体的に学べるのが、『社内外に眠るデータをどう生かすか ―データに意味を見出す着眼点―』です。
著者は、地方銀行、マーケティング会社を経て2012年、株式会社フォーカスマーケティングを創業した、蛭川速氏。マーケティング部門、企画部門への商品企画や販促企画を中心としたコンサルティング案件に携わり、20年を超える実務経験で培ったデータ活用の方法を、本書に盛り込みました。
実際に公開されているデータを用い、表計算ソフトの操作例や質問表の作例も示しているので、現場で手を動かす風景が想像しやすいのも特色です。
データを用いない意思決定は、サイコロを振って投資するのと違いはありません。主人公がたどる道を追うもよし、ご自身の業務に合致するシーンを読み込むのもよし。下半期に向け、データ活用の基礎をおさらいしておきましょう。