企業が発信したメッセージが炎上を引き起こす要因のひとつに、無意識の思い込みがある。価値観の決めつけが、言動となって表れていないか。そのことに気づかせてくれるのが、アンコンシャス・バイアス(無意識の思い込み、偏見)診断だ。
日本労働組合総連合会は12月4日、「アンコンシャス・バイアス診断」の調査結果を発表した。真に多様性ある職場・社会の実現を目指す取り組みの一つ。回答者数は5万871名。「設問を見て自分に思い当たるもの」にチェックする方式で、20個の設問を設けた。
その結果、設問のうち1つでもアンコンシャス・バイアスを認識したことがある人は95.5%以上となり、回答が最も多かったのは「『親が単身赴任中』というと、父親を想像する(母親を想像しない)」(66.3%)。「介護しながら働くのは難しいと思う」(58.4%)が続いた。
一方、回答者が少なかった設問は「定時で帰る人は、やる気がないと思う」(2.8%)だった。
ジェンダーに関するアンコンシャス・バイアスは、どの設問も高い回答率に。男女差が最も大きかった設問は「体力的にハードな仕事を女性に頼むのは可哀そうだと思う」。男性56.6%に対し、女性32.5%だった。
診断を監修した、アンコンシャスバイアス研究所の守屋 智敬氏は、アンコンシャス・バイアスは誰にでもあるとした上で「押しつけや決めつけの言動となって表れた時に、問題となるため注意が必要」と指摘。またコロナ禍を境に「あたり前」大きく変わり、「アンコンシャス・バイアスも、現在進行形で、上書きされている」とも。
アンケート結果の中で、最も回答率の高かった「親が単身赴任中というと父親を想像する」については、「単身赴任者に男性が多いという事実が、回答結果に影響を及ぼしているかもしれません。一方で、マイノリティに目をむけると、『なんで母親なのに、単身赴任なの?子どもがかわいそう』といったひと言に、傷ついている人もいるかもしれません。
真の多様性ある職場づくりに大切なことは、『これまでに見聞きしてきた100人はそうでも、101人目は違うかもしれない』といったように、101人目に思いを寄せられるかどうか」。アンケート結果公表にあたっては「回答率の高い/低いを評価することは目的としておらず、『自身の言動にアンコンシャス・バイアスがあるかもしれない』と意識するきっかけに繋がれば」とコメントを寄せている。