【ニューバランス×花王×電通】実務家3人が振り返る2020年の秀逸事例

コロナ禍で、企業と消費者の接点がつくりづらくなった2020年。この環境において、どのような取り組みが関係性の構築、あるいは維持に貢献したのだろうか。
国内外の事例に精通する実務家3名が、2020年の秀逸事例を振り返り、その共通点を分析した。

月刊『宣伝会議』2月号(12月28日発売)では「役割が細分化する時代 いま、知るべき「全体知」とは? 2021年マーケティング予測」と題し特集を組みました。ここでは、本誌に掲載した記事の一部を公開します。

—2020年、マーケティングとして秀逸だと感じられた事例について紹介ください。

多々良:コロナ禍での対応のはやさ、スピード感で言うと、ザ・スーツカンパニーのCM「リモート会議篇」は、最もおもしろいと感じた作品でした。コロナ関連の施策は無理にコロナに絡めようとして、ちぐはぐな印象を受けるものが溢れていたなかで、商品・トンマナ・表現が見事に合致していました。また、フルリモートで話題になっていた「劇団ノーミーツ」を起用したスピード感もすごいなと。

鈴木:劇団ノーミーツ自体が最初は無料で楽しめるコンテンツから、有料公演で成功したのはエンタメ業界にとっても、よい流れだと感じます。コロナ初期段階では、無料でいろいろなコンテンツを楽しんでもらおうと皆が提供していましたが、やはりそれだと業界が厳しくなるので、オンラインが中心になるなか、どのように収益化するかも考えていかければなりませんよね。

多々良:僕も無料と有料の境は今後のコンテンツの争点になると思います。ある書籍で、これからは「距離感を売るべきだ」という話を読んで、確かにと思いました。ライブのS席A席で金額が変わるように、オンラインでも距離感を売っていかないといけない。まだ模索段階ですが、メイキングなどコンテンツの裏側を見せるなどがビジネスになるのではないかと思っています。

鈴木:「鬼滅の刃」は最たる例ですが、コロナ禍での日本の強みはエンタメだということがわかりましたね。重要な市場です。

多々良:あと少し話題にもなっていたんですが、船場センタービルの50周年アニメーション「忘れたフリをして」もクラフトが丁寧で、メイキングのストーリーも興味がひかれる内容でした。最近はTwitterなどで流れてくる、動画ですら長く感じるなか、やはり漫画のような画像で伝わるコンテンツはバズりやすい。本施策は、ムービーだけではなく、漫画も活用することで、チャネルをフル活用した広がりを意識したつくりが上手だと感じました。コンテンツに限らず、物事をわかりやすく解説した画像は、かなり拡散されやすい傾向にあり、動画の次は画像がシェアされる時代ではないかとも考えています。

廣澤:ただ、やはり企業という発信側に立つと、曲解を生みやすい画像は扱いに注意する必要はありそうですね。

多々良:あと、他の事例で言えば、コロナ禍でも、大きく左右されずに黙々とブランド価値を提供、発信している企業もよいと感じました。無印良品の「気持ちいいのはなぜだろう。」という世界の掃除を特集するコンテンツなどもまさにそのひとつです。

ニューバランスジャパン
マーケティング部ディレクター
鈴木 健氏

 

花王
コンシューマープロダクツ事業部門 キュレル事業部
廣澤 祐氏

 

電通
CDC
多々良 樹氏

 

—本記事の続きは月刊『宣伝会議』2月号(12月28日発売)に掲載しています。

月刊『宣伝会議』2月号(12月28日発売)

巻頭特集
役割が細分化する時代 いま、知るべき「全体知」とは?
2021年 マーケティング予測
 

▽注目の記事を一部ご紹介!
〇消費者理解とブランドの存在意義で成り立つ
 組織でつくるブランドマネジメント
  ジョンソン・エンド・ジョンソン 黒木昭彦氏
〇2020 年の秀逸事例で振り返る
 コロナ禍で求められたマーケティングとは?
  ニューバランスジャパン 鈴木健氏/花王 廣澤祐氏/電通 多々良樹氏
〇大手プラットフォーマー 2021年の展望
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