テレビが大きな変化を迎える中で、同氏はどのようにテレビCMの価値を高めようとしているのか、話を聞いた。
※月刊『宣伝会議』3月号(2月1日発売)では「進化するデータと取引プラットフォーム 『テレビ広告』新時代」と題し特集を組みました。ここでは、本誌に掲載した記事の一部を公開します。
リーチ力に甘んじることなくリーチした先まで考える
消費者のメディア接触時間の統計を見れば、総接触時間のうち、テレビに割かれる時間が減っているのは事実です。一方、ソーシャルメディアのフェイクニュースが大きな社会問題になっている現在、テレビのコンテンツ、インフラ、リーチ力といったメディアとしての信頼性があらためて大きな価値となっているのも確かだと思います。
また、広告メディアという観点でも、その信頼性はもちろん、認知獲得という面では、デジタル広告で届きにくい新規顧客層へのリーチ力において、ほかのメディアと比較してもいまだに強大といえるでしょう。
実際、各企業のプロモーションプランにおいても、テレビCMをトップファネルに据え大規模な認知獲得を行い、その後デジタルで刈り取るという形は一般的です。
しかし現状、このテレビとデジタルのファネルは直接つながっていません。
そこで、視聴者がCMに接触した最も関心度が高い瞬間を逃さず、直接デジタルコンバージョンにつなげられれば、テレビCMの価値はさらに高まる。そう考え現在当社では、テレビとスマホをリアルタイムにつなげることで、認知から直接コンバージョンする施策を実現しています。
一方、テレビCM自体も視聴者への新しい価値の提供が必要だと考えます。現在、テレビは大きな過渡期にあります。録画視聴はもちろん、TVerによる番組コンテンツの再配信やNHKが進める同時配信、そして多くのVODなど選択肢の増加に伴い、コンテンツの視聴のされ方や楽しみ方も多様になる中、テレビCMもあえて見てもらえるものになる必要があるのではないでしょうか。
そこで、私は視聴者が“楽しめる”テレビCMの可能性を模索しています。視聴者に、より「楽しい、おもしろい、お得」と感じてもらえる、積極的に見たくなるようなCMです。
具体的には、VRなどの新しいコンテンツ体験やデジタルギフト抽選など様々なタイプのインセンティブをテレビとスマホを連動させることで提供するというものです。
そして視聴者には、その「楽しいテレビCM」体験を通して、直接「デジタルコンバージョン」してもらうことを目指しています。
もちろん、このようなテレビCMを実現していくには、広告主企業の狙い、そしてそれを実現するための広告会社のプロモーション戦略との密な連携が必要です。広告主企業、広告会社と力を合わせて初めて、視聴者のインサイトを刺激し直接コンバージョンにつなげられる「視聴者にとって楽しいテレビCM」が生まれます。テレビ局だからこそ提供可能な新しいテレビCMとして、今後も一緒に模索できればと考えています。
フジテレビジョン
総合事業局
コンテンツ事業センター
プロデュース事業室
デジタルデザイン部 企画担当部長
冨士川 祐輔 氏
月刊『宣伝会議』3月号(2月1日発売)
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