テレビのアップデートによってより使いやすく、出稿しやすいメディアに

テレビCMのDXが進む中、デジタル広告の黎明期からノウハウを培ってきたアイレップは現在、テレビCMとデジタルを統合した施策展開が可能な「TEAM JAZZ」プロジェクトを発足している。彼らはどのようなテレビ広告の未来を見据えているのだろうか。同社・平知己氏、青山友樹氏に話を聞いた。

月刊『宣伝会議』3月号(2月1日発売)では「進化するデータと取引プラットフォーム 『テレビ広告』新時代」と題し特集を組みました。ここでは、本誌に掲載した記事の一部を公開します。

テレビはなくならないデータ連携でより価値が高まる

リビングの中心に置かれ、大きな画面で訴求できるテレビだからこその強みは、今後もなくなることはないでしょう。今すぐにファミリー層がテレビを購入しなくなるということは考えられませんし、今はNetflixなどの動画配信サービスをテレビで見ることも増えており、受像機としてのテレビの存在感がなくなることもないと考えています。

それでもテレビCMの効果も弱まっているのではないか、という声も聞きます。しかし、テレビ自体もテレビCMもさまざまなデータとの連携などテクノロジー導入によって、これから10年で一気にDXが進み、広告メディアとして価値は高まると思います。

デジタル広告を起点としている我々だからこそ強く感じるのですが、デジタルにはターゲティングという強みがありますが、逆に言うと、ニーズが顕在化した消費者にしか届かない面があります。しかしテレビCMは、潜在顧客のような、購入意思やニーズもない層へ多くリーチでき、しかもリーチ単価も安い。このようなメディアは他にありません。

そして、テレビCMにはさらなる進化の可能性もあります。我々も進めていますが、今後オープンデータや企業の保有するデータなどさまざまなデータとの連携がされることで、テレビCMの出稿も多様になってくると思います。

例えば、天気情報と連携して、雨の日に傘のCMを出す、気温と連動して、暑い日にはビールの広告を出すという時代になります。

視聴者が置かれている環境に合わせた広告の出稿は、YouTube広告で行われてきたようなことでもありますので、テレビにおいても環境が整ってきている今、技術的には実現できないことではありません。もちろん、このようなCMの変化によってそれに連動したクリエイティブの制作も重要になってきます。

SAS(スマート・アド・セールス)のようなミニマムで出稿できる環境も整ってきていますので、広告主企業にとっても、テレビCMはより気軽に挑戦できる使いやすい媒体になると考えています。

ただし、テレビCMの進化は進みますが、価値のある広告を視聴者に提供しなければいけないことが、大前提です。データ連携によって、ターゲティングなどの精度は高まりますが、CMはあくまで番組の間に流れるものです。その番組の視聴層に合わせたクリエイティブになっているか、より考えていかなければなりません。

ただ、これはデジタルの広告が逆にテレビCMから学んでいかなければならない課題でもありそうです。

アイレップ
TEAM JAZZ
エグゼクティブ・
クリエイティブ・ディレクター
平 知己 氏

 

アイレップ
TEAM JAZZ
ストラテジック・
プランニング・ディレクター
青山 友樹 氏

 

月刊『宣伝会議』3月号(2月1日発売)

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特集
進化するデータと取引プラットフォーム 『テレビ広告』新時代

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