電通グループは、1月28日に世界59カ国・地域から収集したデータに基づき取りまとめた「世界の広告費成長率予測」を発表した。2020年の世界の広告市場は8.8%減少となる見通しだが、2021年には5.8%増の成長を予測する。
2021年の日本の広告市場の成長率は5.3%増を予想
世界の広告市場は、新型コロナウイルスの影響で2020年は8.8%の減少となる見通しだが、2021年には5.8%の成長が見込まれ、世界の総広告費は約5790億ドルになると予測。2022年には広告市場全体がコロナ禍前の水準に戻る見通しで、6.9%の成長により、総広告費は約6190億ドルになると予測する。
また、2021年の広告市場成長率が高いと予測される主な国は、インド(10.8%増)、英国(10.4%増)、フランス(8.9%増)などだ。世界最大の広告市場である米国は3.8%増、2位の中国は5.3%増、3位の日本は5.3%増を予測しており、世界の広告市場全体に占めるこれら3つの市場のシェアは、それぞれ37.9%、17.6%、9.9%になると予想する。
2021年にデジタル広告は、世界の総広告費の媒体別シェアで初めて50%へ
2020年のコロナ禍においてもデジタル広告は媒体別で唯一プラス成長だったが、2021年も2桁の成長を見込む。これを原動力として、広告市場全体が回復軌道へ転換する見込みだ。また、世界の総広告費に占めるデジタル広告費の媒体別シェアは初めて50.0%に達する見通しである。デジタル広告の内訳として、ソーシャルメディア広告(18.3%増)、検索連動型広告(11.0%増)、動画広告(10.8%増)が大きく成長すると予想する。
また、東京オリンピック・パラリンピック競技大会やUEFA欧州選手権などの大型スポーツイベントの効果により、2021年のテレビ広告費は世界全体で1.7%増の1690億ドルとなり、世界の総広告費の約3割の水準を維持すると予測されている。
コロナ禍の影響を強く受けた業種が大幅な反動増の予測
2020年度にコロナ禍によるマイナスの影響を強く受けた業種では、2021年には広告費が大きく伸長すると予測する。例えば、観光&運輸(28.4%増)、メディア&エンタテインメント(14.5%増)、自動車(13.8%増)などが挙げられる。また、テクノロジー(6.0%増)、金融(5.6%増)、通信(4.8%増)などコロナ禍においても力強さを発揮した業種でも、一貫した成長が見込まれる。