コーセー
宣伝部 宣伝企画課 課長
小林祐樹氏
エビリー
マーケティングチーム マネージャー
和田洋祐氏
「人」がメディアになる時代 コロナ禍で変わるYouTube活用
和田:コーセーさんはメディアやツールなど新しい手段を率先して取り入れてきた印象がありますが、YouTubeは活用していますか。
小林:コーセーでは、すでに複数のブランドで公式チャンネルを開設しています。そのひとつ、「コスメデコルテ」では「コスメデコルテ コンシェルジュチャンネル」というチャンネルを運営しています。
和田:化粧品は質感や香り、色など、リアルの場で試してもらうことが重要ですよね。コロナ禍でオンラインシフトせざるを得ないなか、コミュニケーションに課題はありますか。
小林:店頭で従来のような接客ができない状況は、「コスメデコルテ」のような特に高価格帯のブランドにとっては厳しいですね。そこで「コスメデコルテ コンシェルジュチャンネル」は、購買に結びつけるまでと、購買後に商品を適切に使用してもらい満足いただくために、商品理解を促すツールとしてビューティーコンサルタントが出演しています。実はこのチャンネルを開始した当初は、店頭でカウンセリングをお待ちいただくまでの時間に見ていただく想定で作成していました。インバウンド需要の拡大で、店頭でお客さまの待ち時間が長くなってしまうことへの対応だったのですが、コロナ禍で方向性を大きく変えたのです。
和田:当社のYouTubeデータ分析ツール「kamui tracker」によると、コロナ禍ではリアルでの体験を伴ってサービスを提供していたエクササイズ、美容、料理などのカテゴリのハウツー動画が伸びている印象です。個人だけでなく、コーセーさんのような企業もYouTubeで発信する機会が増えているのだと思います。また、公式チャンネルだけでなく、企業とインフルエンサーのタイアップコンテンツも増加しています。コーセーさんでは、どのようにインフルエンサーの活用を進めていますか。
小林:美容品にとって、実際にブランドを試し、動画で配信してくれるインフルエンサーは、大切なメディアでありコンテンツメーカーと捉えています。ブランドターゲットの年齢層や好みに合ったインフルエンサーを起用してのYouTube施策は、趣味嗜好が多様化した時代において、個々のコミュニティごとに異なる切り口で情報を届けられるということから重要視しています。
和田:たしかに、スモールマスとも言われるコミュニティへの的確なアプローチが図れるのは強みですね。
小林:施策の効果はどう測定することが多いのですか。
和田:動画の視聴回数や概要欄リンクのクリック数、動画からのコンバージョンの測定が一般的です。また、それに加え、動画に付いたコメントの分析による「視聴の質」や、アンケート調査による態度変容、タイアップ実施前後での売上の差分などから総合的に効果を判断します。
YouTubeは目的別に幅広く活用 担う役割は認知から購買の先まで
和田:YouTubeを活用する上で課題や疑問に思うことはありますか。
小林:「コスメデコルテ」のチャンネル視聴状況を分析すると、以前からブランドを知っている状態で動画を視聴した人は商品を8割以上購入してくれるという結果がでているのですが、それ以外はその半分以下という数字です。特にマイクロ、ナノインフルエンサーを起用してのYouTube施策が購入意向獲得のフェーズに効果的なのはデータであるのですが、その他でYouTubeはファネルのどの段階に有効なのでしょうか。
和田:YouTubeは、ファネルのどの段階にいる消費者に対してもある程度有効な施策が打てると考えています。商材の特性にもよりますが、一般的には、認知拡大であれば有名なYouTuberの起用やTrueView広告を併用し、興味関心を高めるためには、商品理解を深める動画企画を実施します。購入を目的とした場合、商品ページや売り場との連携を行うケースもあります。また、YouTube施策の特徴として、グーグルが提唱する「パルス型消費」との相性が良いということもあります。「24時間すべてが買い物のタイミングであり、空き時間にスマホを操作しながら、瞬間的に買いたい気持ちになり、その瞬間に買い物を終わらせる」という消費行動ですが、ファネルのどの段階にいる消費者でもYouTubeを見てそのまま商品を購入するということがよく見られます。
小林:「コスメデコルテ」のような認知、興味の後、店頭で試してもらい、比較・検討し、購入、そして満足し、リピートしてもらうというカスタマージャーニーを描くブランドでも、YouTubeやインフルエンサーでの認知施策は有効なのですか?
和田:有効だと思います。「コスメデコルテ」のチャンネルの目的は、商品の使い方、理解を深めてもらうことですよね。このタイプのチャンネルは、新たな認知の獲得より、ブランドを知っている人に向けて理解を深めてもらい、購入後も満足いただけるようファネルを掘り下げていくイメージで成果が出るのではないかと思います。ただ、そこに至るまでの認知のところに関しても、もちろんすべてYouTubeだけで完結するものではないですが、ターゲットによっては、YouTuberやインフルエンサー施策、TrueView広告などの併用でカバーできるところが昨今広がってきていると感じています。その精度向上や工数削減で、当社の「kamui tracker」のデータもお役立ちできるのではないかと思います。
ブランドの「世界観」「機能」を メディアの文脈に変換して伝える
和田:今後、YouTubeを活用することで実現したいことはありますか。
小林:あくまでオリジナルの情報、消費者が見たくなるコンテンツを配信するためにYouTubeを活用したいです。当社が広告施策で大切にしていることは会社とブランドの「世界観」「機能」を伝えること。コンテンツを通じて認知し、購入、そして満足してもらうことが理想です。既存メディア同様に、YouTubeもインフルエンサーも私たちには大切なメディア。ブランドの「世界観」「機能」をメディアの文脈に変換して伝えていただき、お客さまに理解してもらえるようなコミュニケーションに活用していきたいと思います。
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