【前回コラム】「謝罪会見に『赤ネクタイ』はNG!森会長の『不適切』な装い」はこちら
パンデミックから1年。この間に完全にスタンダードとなったのがマスク着用だ。
従来から日本では、マスクを着用する人々が諸外国とは比較にならないほど多くいたが、「メディアに出る場でマスクは着けるべきか、外すべきか?」と言う議論がなされるようになったのはCOVID-19後のこと。最近ではTVキャスターのマスク着用についても議論があった。
では、ブランディングの観点からみて、記者会見など大勢の人に見られている場では、登壇者はマスクを外すべきなのか。また外したマスクはどのように扱うべきなのか。
そこで今回は、企業のトップなどが記者会見などで登壇する際の「マスク事情」について整理していく。発信したいメッセージが邪魔されず、見聞きする人に‟不快感”というノイズを与えないためにはどうすれば良いだろうか。
登壇時のマスクの扱い、2つのポイント
ひとつ目のポイントは、スタンスをブラさないこと。社会的影響力のある人間として、着けるなら着ける、着けないなら着けないと、意思表示はすべき。パブリックの場に身を置く人間に必須なのは、特に目に見えてしまう行動を一貫させ、不要な疑問を煽るような発見を視聴者にさせないことだ。
筆者はこの1年間、日本で行われたすべての記者会見を見ているわけではないが、メディアに出てくる注目度の高い情報発信者のスタンスがブレまくっていることは一目瞭然だ。小池都知事も、マスクを着けたり外していたりだと言うではないか。
二つ目のポイントは、話す前に外したマスクの扱い方。マスクを外した場合、外したマスクの扱い方まで気にしている人は非常に少ない。いや実際、そのような場に出るだけでいろいろ気を遣うわけで「気が回らない」のが事実だろう。政界でも、菅総理や安倍前総理をはじめ、多くの方々の中で判断が分かれているように思う。
スタンダードなのは、さっとマスクを外したら半分に畳み、座った膝の上に置いてしまう方法。最も無駄な動きがない上に、視聴者の目の届かない場所に瞬時にマスクを移動させられるからだ。
しかし、マスクの種類によっては膝の上に落ち着かずポロリと落ちてしまう。使い捨てのサージカルマスクは特にそうだろう。そのような場合には、ダークカラーのハンカチもしくはスーツに近い色の布をポケットに忍ばせておき、座ると同時に外したマスクをその間に挟み、膝の上におくといい。
布に挟まれていれば、重みも加わり、服の生地と引っ掛かりあい、膝から滑り落ちづらくなる(立ち上がる前にそれを手に持つことを忘れないようにする必要はあるが)。理想的には、ネイビーやチャコールグレーのハンカチ生地やスーツ生地でできた、茶道の服紗的なものがあれば使いやすいのだろうと思う。