会社勤めと講師業の両立で産学を往還した実践的な学びを提供

社会情報大学院大学「実務家教員養成課程」の第2期生として同課程を修了し、現在、会社と専門学校の非常勤講師を両立している北見賢一さん。大手企業での勤務を続けながら実務家教員になるまでの道のりを聞いた。

サンリーブ 酒類営業部部長
学校法人佐野学園 専門学校神田外語学院非常勤講師
北見 賢一さん

 

35年のサラリーマン人生を経て教員の道へ

実務家教員養成課程の第2期生として課程を修了した北見賢一さんは、現在もサントリーグループに勤めるサラリーマン。2020年4月に神田外語学院のビジネス系科目で非常勤講師として採用され、サントリーグループの仕事と両立しながら実務家教員としての一歩を踏み出した。

1985年にサントリー(現・サントリーホールディングス)に入社して以来、35年のサラリーマン人生を歩んできた北見さんが、自身のセカンドキャリアを考え始めたのは、56歳を迎えた2018年の秋ごろ。役職定年の58歳を前に、その後の人生を考え、本を読みあさったという。そこで出会ったのが『これまでの経験を生かしてサラリーマンから大学教授に転身する方法』(山崎和邦、2006、中経出版)という書籍。「こんな道もあるのか」と考えていた矢先、新聞に載っていた「実務家教員養成課程」の記事が目に留まった。

「サントリーでは、マーケティング部門と営業部門を行ったり来たりし、理論と実践の両面を体感してきました。そうした経験を若い人たちに教える、実務家教員としての道もあるのかなと考え、説明会に足を運んだのが養成課程を受講したきっかけです」

ビジネス現場の間隔を持ちながら教鞭をとる教員が活躍し始めている(写真はイメージ)
123RF

模擬授業で感じたプレゼンと講義の違い

「普通のサラリーマンが教員になるための要素が15週の中に全て盛り込まれていると感じました」と話す北見さん。

養成課程では、「実務能力」「教育指導力」「研究能力」という実務家教員に必要な3能力を講義、演習、セミナー、模擬講義など、さまざまな形で学習する。中でも北見さんが特に役立ったと感じているのは、①公募や応募に必要な「教員個人調書」の書き方、②サラリーマン人生を振り返る「省察」、③シラバス作成の基礎・演習、④授業計画(1回/90分)の作成法、⑤模擬授業の5項目だという。特に、養成課程修了の締めくくりとなる模擬授業は、大きな経験となった。

「もともと営業部門やマーケティング部門でプレゼンをすることは多く、人前で話すことには慣れていましたが、顧客や社内に承認を得るためのプレゼンと、学生に伝え、学びとってもらう授業では、大きく違うことを実感しました。動画に撮った自分の模擬授業を見返した時は、『なんて下手なんだ』とわれながら思いました」

北見さんは、模擬授業のほかに日本女子大学での教育実習も経験した。「リカレント教育の授業でリレーション・マーケティングの講義を行いましたが、ジャッジしていただいた先生方に多くのダメ出しをいただきました」と振り返る。実習後にもらったA4用紙8枚におよぶ教育実習評価シートの内容は、今も繰り返し読んで参考にしているという。

会社勤めをしながら実務家教員の強みを生かす

実務家教員養成課程修了後は、JREC-IN Portalというサイトで教員の公募を探し、神田外語学院との縁を得た。研究者としての実績や経験がない北見さんにとって、教員のポストを探すことは容易ではなかったという。

「養成課程を通じて、自分のこれまでの仕事人生を省察すること、それをベースに個人調書、シラバス、授業計画などを作ることが重要と学びました。論文執筆演習の授業が終わったら、実際に論文を書き始めるのがいいかと思います。大学教員を目指すのであれば、やはり論文は必要というのが、就職活動をしてみての実感です」

神田外語学院へは、書類審査、模擬授業、面接を経て採用された。現在はビジネス科目「キャリア開発」という分野で週2コマ授業を行っている。採用されてすぐコロナ禍で緊急事態宣言が出されたため、1学期は、4月は全て休講、5月は授業を録音して配信するなど、イレギュラーな状況が続いた。2学期からはハイブリッド方式で学生の半分はオンライン、半分は対面という形での授業が続いているという。

「出鼻をくじかれた感じがしていますが、それでも授業後に学生が書いてくれる感想が、自分を勇気づけてくれます」

現在、北見さんは会社と非常勤講師を両立する形態で働いている。

「幸い、サントリーは副業を認めています。ならば、会社にいながら両立するのもいいかなと感じています。会社を辞めないでいた方が、実際に今、社内で起きていること、ビジネスで起きていることの最新の情報が入りますし、自分自身のビジネスマンとしての感覚も鈍りません。常に新鮮な情報を持って教えることができるのは、実務家教員の強みとも言えます」

2019年4月、セカンドキャリアを考え教員の道を選んだ北見さん。養成課程を通して、教員という職業の魅力を実感するようになったという。一方で、教えている生徒たちは、現在、コロナ禍で就職難を迎えている。そうした生徒たちに「気を落とさずに前を向いて頑張ってほしい」と、切実に願う先生の顔をのぞかせた。

「若い人たちに、私が社会人として経験してきたことを感じてもらい、これからの人生に役立ててもらう。これからの世界を背負って立つ人を育てる教員という職業は、本当に素晴らしい職業だと思います。私のようにサラリーマンから教員の道を目指す方が、多く出てこられることを願います」

社会情報大学院大学 先端教育研究所
実務家教員養成課程 第9期は、2021年10月開講になります。
 
実務家教員養成課程には、これまでに260名が修了し、大学教員として活躍しています。業種業界に問わず広く参画していますが、広告業や、出版業などからの受講者も増えています。
これまでの広告・メディア業界の実務経験を活かして、教員としての道に関心がある方は、ぜひ、説明会や、資料請求などお問い合わせください。
 
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