【最終回】つづくオウンドメディア―「場所」としての自走を目指して―

【前回コラム】「“点”から“面”へ オウンドメディアの評価と役割」はこちら

これまで5回にわたりお届けしてきたこの連載もいよいよ最終回です。これまで「つづけられるオウンドメディア」をテーマに、当社の「KIRIN公式note」の事例をもとにしながら、メディア立ち上げの理由からコンテンツの考え方、その評価と役割にわたるまでお伝えしました。

最終回の今回は、なお残るオウンドメディアの課題と、担当者に求められるスキルについてお届けします。

オウンドメディアの「数字」の壁

多くのオウンドメディアがクローズする理由は「費用対効果が見合わない」ことと、「社内の理解が進まない」ことの2つに集約されると思います。

オウンドメディアを立ち上げ、コンテンツを量産するだけではなく集客もしていくとなれば、当然ながら費用はかかります。加えて、量だけでなくコンテンツのクオリティを目指すほどに費用はさらに高くなっていきます。

前回の記事「“点”から“面”へ オウンドメディアの評価と役割」では、コンテンツの評価を「タテ(ストック性)」と「ヨコ(他展開)」の面積の総和で考えるべきということを書きましたが、その価値を誰もがわかる「数値」に変換できるものなのかと問われれば難しいわけです。オウンドメディアのコンテンツは「ストック性のあるコンテンツ」と言えば聞こえは良いですが、そのストックされた記事がいつ誰の目に触れて成果につながるかは未知数であることが多いからです。

また、文章を中心としたオウンドメディアでは、届く読者数にも上限はあります。これだけテキストコンテンツのみならず動画コンテンツやSNSなど情報が溢れている時代にあって、わざわざ企業が発信しているコンテンツに興味を持って追いかける読者を獲得しようとなれば、どうしてもその上限は見えてしまいます。

メディアを通じた直接的な購買をゴールとしないオウンドメディアは、どこまでいってもこうした「数字」の壁が顔を出してきますし、社内の理解が進まないケースも多いようにも見受けられます。

いかに社内からコンテンツ化を渇望されても、読者が一定数ついたとしても、それだけでは「つづけられない」こともあります。オウンドメディアをつづける理由やその価値についてはこれまでの記事で語ってきましたが、それをもってしても「数字の壁」はつきまとうわけです。

ここから見える解決策は、端的に言えば、コンテンツにかかる費用をゼロに近づけること、「ストック性」の価値を可視化しうる施策をつくり上げること、このふたつです。

次ページ 「コンテンツ制作のコストを削減する工夫」へ続く

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平山高敏(キリンホールディングス/コーポレートコミュニケーション部)
平山高敏(キリンホールディングス/コーポレートコミュニケーション部)

広告会社を経て、2012年より昭文社にて『ことりっぷweb』のプロデューサーとしてコンテンツ企画、SNS戦略、コミュニティ戦略など全般を担う。
2018年キリンホールディングス入社後は、オウンドメディアのコンテンツ戦略・LINE担当を経て「キリンビール公式note(現KIRIN公式note)」を立ち上げ、noteを軸にした企業コミュニケーションの戦略を担う。

平山高敏(キリンホールディングス/コーポレートコミュニケーション部)

広告会社を経て、2012年より昭文社にて『ことりっぷweb』のプロデューサーとしてコンテンツ企画、SNS戦略、コミュニティ戦略など全般を担う。
2018年キリンホールディングス入社後は、オウンドメディアのコンテンツ戦略・LINE担当を経て「キリンビール公式note(現KIRIN公式note)」を立ち上げ、noteを軸にした企業コミュニケーションの戦略を担う。

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