2021年度グッドデザイン賞(主催:日本デザイン振興会)は11月2日、最高賞となるグッドデザイン大賞にオリィ研究所「分身ロボットカフェDAWN ver.β」「分身ロボットOriHime」を選出したと発表した。
オリィ研究所代表の吉藤オリィ氏は自身の不登校などの経験から「孤独の解消」を掲げ、社会問題を解決するツールとして2009年から分身ロボットを提唱。研究開発を進め、2012年にはオリィ研究所を設立した。
「Orihime」は障害や病気などで外出困難な人が遠隔操作し、コミュニケーションをとることができるロボット。2018年以降、都内で数回にわたり期間限定カフェを開設し「Orihime」を通じた遠隔での接客の実験を重ね、2021年6月には東京・日本橋に常設の店舗をオープンした。
審査委員は「分身ロボットの開発を中心に、テクノロジーおよびUXにより就労希望者の障害を取り除く画期的な事業。実際に訪れると、ロボットに接客されるのではなく、その奥にいる人に接客されている体感が持てるようデザインされていることがわかる。ロボットをメディアとして、障害のある人との生々しい接点がデザインされていることに強い意義を感じる」などと評価している。
グッドデザイン賞の今年度のテーマは「希求と交動」。特にコロナ禍では、さまざまな社会課題に対する人々の切実な願い(希求)に対して、積極的に交わり、社会実装しようと動いていく(交動)ためのデザインを評価するという方針を掲げた。
10月20日に発表された、大賞候補となったほかのファイナリストは以下のとおり。
・富士フイルムの移動型X線透視撮影装置「FUJIFILM DR CALNEO CROSS」
・2016年の熊本地震を機に2020年にオープンした、熊本市にある「神水(くわみず)公衆浴場」(ワークヴィジョンズ+黒岩構造設計事ム所+竹味佑人建築設計室)
・国土交通省の3D都市モデルの整備・活用・オープンデータ化プロジェクト「PLATEAU[プラトー] 」
・台湾発のオーガニックヘアケアブランド「O’right(オーライト)」による炭素削減を目指すサプライチェーンシステム「The best sustainability-oriented organizational adaptation to climate change」。