スコッチウイスキーブランド「ジョニーウォーカー」(キリン・ディアジオ)は、『KEEP WALKING THEATRE』という映像プロジェクトをウェブでスタートした。
プロジェクトには、ジョニーウォーカーの精神に賛同した日本人映像クリエイター6人が参加。ブランドの精神である“KEEP WALKING”をテーマに、劇場作品としても成立するオリジナリティと完成度の高い映像作品が製作されている。
ジョニーウォーカーといえば、カンヌ広告祭ではグランプリを受賞するなど、海外ではユニークな広告をつくるブランドとして知られている。しかし、日本では2000年代初めの北野武さん出演のCM以来、大規模なキャンペーンを実施しておらず、ある世代以上への認知度は高いものの、“古いブランド”という印象が否めなくなっていた。
しかし、ジョニーウォーカーはブレンディングの技術、四角いボトルデザインやブランドアイコンである「ストライディングマン」のキャラクターなど、常に革新的なことを打ち出してきたブランド。これまで培ってきたさまざまなブランド資産がある。そこで2009年にキリン・ディアジオ社が誕生し、新たな体制でジョニーウォーカーが販売されることになったのを機に、あらためてジョニーウォーカーというブランドを知らしめるべくスタートしたのが、映像プロジェクト『KEEP WALKING THEATRE』である。
映像プロジェクト――と聞くと、プロダクトプレイスメントなど商品プロモーション的な映像を想像する人は多いだろう。しかし、このプロジェクトの映像には、そのようなシーンは一切ない。ストーリーの必要に応じて酒を飲むシーンは出てくるが、「ただ商品を紹介するのではなく、“KEEP WALKING”というテーマやブランドが培ってきたさまざまなスピリットをメッセージとしてきちんと伝えていきたい」(博報堂クリエイティブ・ディレクター 鷲尾和彦氏)という考えのもと、各作品が製作されているからだ。
「“KEEP WALKING”とは、早く走ったり、誰かと競争したりすることではなくて、一人ひとりが自分のペースで歩き続けるということであって、まさに今とても大切なテーマだと思います。このプロジェクトも打ち上げ花火のように瞬間的に話題をつくるのではなく、じっくりと継続的にメッセージを発信できる、持続力のあるキャンペーンにしたいと考えました」。
6人の映像クリエイターも “KEEP WALKING”というテーマに共感し、今の時代にどんな表現でこのメッセージを伝えるべきか、どうすれば世の中の人たちに共感してもらえるかを熟考し、全てオリジナルの脚本を練り上げている。また、キリン・ディアジオ社も主人公は25歳以上など最低限の条件を出したのみで、表現はすべてクリエイターたちに委ねた。
参加した映像クリエイターは、山下敦弘(映画監督)、塩田明彦(映画監督)、西見祥示郎(アニメーションディレクター)、児玉裕一(映像ディレクター)、河瀨直美(映画作家)、西川美和(映画監督)という錚々たる面々。作品はスペシャルサイトにて順次配信していくが、6本揃う来年春以降は、映画祭への出品や上映会開催などの企画も検討している。
現在は、第1作目となる山下敦弘監督の「曇天吉日」が公開中だ。このサイトでは今後、各監督へのインタビュー、未公開映像も配信予定。また、ジョニーウォーカー・ジャパン公式フェイスブックページでは、プロジェクトの最新情報や各作品の製作秘話など、随時紹介される。