「アートとコピー」コース 阿部広太郎クラス」。2022年3月5日の第二期開講に向けて、現在受講生を募集しています。
昨年3月から10月にかけて開講された第一期は好評のうちに終わり、受講生の間から生まれたチームはその後、ヤングカンヌや広告コンペ、展示などさまざまな活躍の場へ大きく羽ばたいていきました。今回は、第一期の最終課題でコンビを組み、最優秀賞を獲得した飯島夢さん・木村ちひろさんをゲストとしてお招きし、講師の阿部さんを交えて講座の魅力と「コンビだからこそ得られる成長とシナジー」について、実体験から紹介いただきました。
「自分1人で頑張る」「相手がいるから頑張れる」領域をそれぞれ磨く
—この講座の設立の経緯について、講師を務める阿部さんからご説明ください。
阿部:宣伝会議さんから「専門コースをやりませんか?」と打診を受けた時、どんな講座であれば参加する人の力になれるだろうかと考えたんです。その時に、「コピーを書くだけで完結する仕事は僕の経験上1割にも満たない。9割はデザイナーやAD(アートディレクター)と一緒に練り上げていくのに、どうして両者は別々に学んでいるのだろう?」とふと思ったんですね。もちろん同じ職種同士で切磋琢磨することに意義はありますが、その先をつくれないものかと考えたんです。そこで、アートディレクターとコピーライターが出会い、共に学び、共に創る場として2021年に第一期を開講した講座がこの「アートとコピー」です。
阿部広太郎(電通 コピーライター)
コピーライター&作詞家。人事局に配属されるも、クリエーティブ試験を突破し、入社2年目からコピーライターとして活動を開始。自らの仕事を「言葉の企画」と定義し、映画、テレビ、音楽、イベントなど、エンタメ領域からソーシャル領域まで越境しながら取り組んでいる。作詞家として「向井太一」や「さくらしめじ」に詞を提供。2015年より、BUKATSUDO講座「企画でメシを食っていく」を主宰。「企画する人を世の中に増やしたい」という思いのもと、学びの場づくりに情熱を注ぐ。著書に『待っていても、はじまらない。ー潔く前に進め』(弘文堂)、『コピーライターじゃなくても知っておきたい 心をつかむ超言葉術』(ダイヤモンド社)、『それ、勝手な決めつけかもよ? だれかの正解にしばられない「解釈」の練習』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)。
—参加者のお2人は、どんな目的を持ってこの講座を受講されたのでしょうか。
木村:私はフリーになって3年目のデザイナーです。今でこそ営業・デザイナー・コピーライターの3役を担うこともありますが、制作会社に在籍していた頃は営業やコピーライターと組むことで「自分1人では行けない場所に飛んでいける」感覚が何度もあったんですね。もう一度そうしたチームの可能性を感じてみたいと思ったのが受講の理由です。もう一つはフリーランスとして今後どう道筋を立てて進んでいくか、モヤモヤとして決めきれていなかった時期でもあって、この講座で何かきっかけを掴めるかもしれないと期待していたのもありました。
飯島:私はちょうどその頃、コピーのコンペで少しずつ名前を残せるようになってきた時期でした。でも、結果が出ても特に反響はなく、無風だなと……(笑)。コピーの力も信じていたし、コピーだけで人のこころに刺さる広告をつくることに憧れはありました。ただ、このまま1人でやっていて、社会に自分の名前や企画を残せるような活躍の仕方ができるのかという不安があって、その中でこの講座を知りました。「自分1人で頑張らなきゃいけない領域と、相手と2人だから頑張れる領域を両方磨けるのは魅力的だ」と感じて受講しました。
飯島 夢(セプテーニ/クリエイティブディレクター、フリーコピーライター)
1996年1月生まれ。2018年に上智大学哲学科を卒業後、セプテーニに入社。営業を経て、2020年よりクリエイティブに異動。個人理念 「右脳と左脳で美しさに共感して、届けて、共鳴する」をもとに活動中。わたしの中にある社会を、企画やコピーにしている。第13回販促コンペゴールド受賞、2022ヤングカンヌ日本代表(プリント部門GOLD)。
—木村さんと飯島さんは最終課題でコンビとなり、最優秀賞を獲得しました。課題にはどのように取り組んだのでしょうか。
飯島:「お互いにとっての最終課題とは何か?」を最初に話し合いました。きっと、最終課題をどう捉えるか、その後どんな活躍につなげていきたいか、はお互い違うだろうと思っていたので。その中で最終課題の立ち位置をお互いに話し合って、目的が完璧に一緒じゃなくても、熱量は揃えていけるように工夫しました。それから、「1人で考える時間も大切に」「最後は2人の引っ掛かりを信じる」ということも意識していました。
木村:飯島さんに、「私は提出ギリギリまで何度でも作り直したい、だからアイデアを何度も壊させてほしい」とお願いしたんです。そしたら飯島さんも「やりましょう!」と快諾してくれて。結局、2人で100案くらい考えましたね。締め切り前の一週間は毎晩ミーティングで、提出の前日にもどれを出すか悩んでいる状態でした。デザイナーとして気をつけていたのは、できるだけ早くイメージを共有できるもの=ラフを出すことでした。ラフにしてみると意外と良かったり、逆にしっくり来なかったりしますから。とにかく手を動かし続けました。
自分から「思いもよらない表現」が出てくる!
—講座を通してどんなことが身についたと思いますか。
飯島:課題ごとにペアの組み替えをするうちに、だんだん「相手と組む上でのバランス感覚」を養えたように思います。お互いの良いところを探りながらつくっていく能力が上がったというか。もう一つは、コピーとビジュアルで同じことを言っても意味がなく、ビジュアルが残した余白をそのままに、コピーではきちんと本質を刺しにいくというような、絵とコピーの距離感が掴めてきました。
木村:私は、誰かと組むことで、今まで描いたことのないデザインを描けたという感覚がありました。
飯島:わかります!私もそれはありました。
阿部:自分の未知の可能性を開ける鍵を持っている「相方」と出会うことで、自分の新しい面に光が当たるようなイメージですね。
木村:コミュニケーションの面でも自分の新たな面が開かれたように感じています。最初の頃はコンビを組んでも緊張して無言の時間が長かったのが、後半にかけてどんどん「やりましょう、やりましょう」と自分から声をかけていけるようになりました。相手が話しやすいようにコミュニケーションをとろうとする姿勢が自然と身についてきたように思います。
木村ちひろ(フリーランス/デザイナー)
制作会社(主に企業の広報用途)のデザイナー、金融会社でのインハウスデザイナーを経て、2020年からフリーランス。DTP・Web・ロゴ・イラストなど幅広く手がける。ご縁に恵まれて仕事をいただきながらも、一人ではなく、誰かと一緒だからこそ生まれるデザインがしたくて「アート&コピー」第1期にアート生として参加。でも、本当のチャンスを掴むのはこれから!(だと信じる)デザイナー。
飯島:私の中の印象的な変化として、講座を通して徐々に「自分が勝ちたい」よりも「相手を勝たせたい」という気持ちが大きくなったのがあります。それまでは自分がコピーライターとして名を上げたいという気持ちが先行していたのですが、ペアの相手に「一緒に組んだから掴み取れた、成長できた」と思ってもらえたら、それ以上に嬉しいことはないなと感じるようになりました。
木村:最終課題に取り組むときも、飯島さんが「木村さんを勝たせたいんです」と言ってくれて、その言葉には非常に励まされましたね。私も、一番最初にコンビを組んだ相方の「前に組んだコンビのためにも頑張ろう」という言葉を胸に、すべての課題に取り組んできました。この言葉のおかげで最終課題では絶対に勝ちたい、一緒に勝ちたいという気持ちがとても強くなっていました。また講座の中で「プロはギリギリまで揺らぐものだ」という言葉に出会い、だったら自分の弱気なところも視点として持っているのは間違いではない、この気持ちを抱えながらやっていこうと思えるようになりました。
—講座では毎回、各コンビが出した作品を全員で評価しあって順位を決めます。この仕組みを通して「良いものを選ぶ力」も養われます。
阿部:結局、選ぶことを人に委ねていると、いつまで経っても誰かの庇護のもとなんですよね。独り立ちしようとする上では、「これがいいから、これを提案します」とクライアントに理由を説明する力が必要です。自ら選びとる力をつけて、自分の名前で仕事をしていく人が増えてほしいと思います。
本気の仲間が50人 「つくる」がはじまる出会いを
—最後に、この講座をどんな人に受けてほしいですか。
飯島:この講座は、コピーやデザインそのものを添削してもらえたり、手取り足取り教えてもらえたりする講座ではないと思っています。そのため、迷いがありながらも、自ら何かを仕掛けて動きを起こそうとする意思のある人に受けていただきたいです。そういう人であれば、この講座を通して、自分なりのアプローチをもって広告と向き合えるようになると思います。
木村:本気で取り組む仲間が欲しい人、1人で制作することに限界を感じている人、なんとなくモヤモヤしている人に来ていただければと思います。本気の仲間が50人集まるというのはチャンスです。私は最終講義の後、講義の中では組めなかった人に自分から声をかけ、新聞の広告コンペに一緒にチャレンジしています。熱を伝えれば熱が返ってくる関係性を築けて、思いもよらない場所に飛んでいけるこの体験を、ぜひ多くの方に味わってもらいたいと思います。
阿部:僕自身、2010年に宣伝会議のコピーライター養成講座に通いました。教わって、学んで、今、本当にありがたいことに登壇させてもらっています。受けとってきたバトンを、渡している感じなんです。願わくは、この講座に通うみなさんにも、いつか宣伝会議に登壇する側に回ってほしいんです。自分なりのイズムを加えて、次世代に継承していく気持ちのあるデザイナー、アートディレクター、コピーライターの方に積極的に参加していただけたら嬉しいです。気持ちの入ったポートフォリオの提出、待ってます。
(質疑応答)
Q. 仕事でコピーとデザインの両方を担っており、どちらの能力も磨きたいので、両方の役割で参加することは可能ですか?
A. 本講座ではコピーライターとデザイナーの人数を均等に揃え、1対1で組むシステムとしているため、原則どちらか一つに決めていただいての参加となります。ただし、コンビとして一つの課題に取り組む中で、デザイナーの側からコピーの案を出すことや、コピーライターの方がデザインの案を出すことは大いにありえます。ご自身の能力と相手の能力の全てを駆使して課題に取り組んでいただければと思います。(事務局)
Q. 「良いものを選ぶ目」はどのように養われると思いますか?
A. まずはコンビとして一つの課題に熱中することで、「寄りの目」が鍛えられます。次に課題提出後に他の全コンビの提出物を見ると「他にこんなアイデアがあったのか!」という気づきが得られ、それが「引きの目」を養うことに繋がります。「寄りと引き」を繰り返すことでだんだんと「選ぶ目」ができてくると考えています。(阿部)
Q. ポートフォリオはどのようなものだと良いですか?
A. 必ず「こういう内容がないといけない」というものはありません(※参加者の中には過去の制作実績を社外に出せない方もいらっしゃいました)。見たいのは、どんな人なのか、出会う準備ができているかという点です。あとはご自身の解釈で構いませんので、気持ちのこもったものをお待ちしています。(阿部)
Q. 講義中の課題はポスター形式のものが多いのですか?
A. 第一期では、ポスターのような一枚絵のものが約6割で、残りは企画書形式のものや、表現方法を問わないものでした。第二期でも同様の予定です。(事務局)
Q. 参加者はすでに仕事でコピーやデザインをしている人が多いのでしょうか。また過去に宣伝会議の講座を受講していた方が多いのでしょうか。
A. コピーライターに関しては、仕事でコピーを書いているわけではない人、または「コピライターではなくライターです」という方も何人かいらっしゃいました。デザイナーに関しては、具体的なスキルが必要な面もあるため、ほとんどの方が仕事でデザインをされていました。過去の講座の受講については、コピーライターの方は養成講座の受講経験のある方が多く、デザイナーの方は受講経験のない方が多くいらっしゃいました。ただしいずれについても本講座の受講資格には関係がなく、どのような方でもご応募いただけます。(事務局)
広告業界を超えて活躍する、最強のコンビを、ここから。
コピーライター養成講座×アートディレクター養成講座
「アートとコピー」コース 阿部広太郎クラス
第2期として、2022年3月5日(土)開講決定。
コピーライターとデザイナー・アートディレクターが共に学び、切磋琢磨し合う特別な講座です。
◯コピーライターとデザイナー・アートディレクターをそれぞれ25名ずつ募集します。
◯2022年2月17日(木)エントリー締め切りです。
◯エントリーのためにはポートフォリオ提出が必要です。
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