アイドルグループ JO1(LAPONEエンタテインメント所属)は、2021年12月15日に5thシングル「WANDERING」を発売。それに合わせて、47都道府県49箇所でOOHキャンペーン「#FIND_THE_JO1」を実施し、SNSで大きな話題を集めた。
ことの始まりは、2021年12月2日。彼らの公式ツイッターで告知されたのは、47の通し番号が記された謎の数字だ。
その3日後、12月5日にはカラフルな47個の三角形がマッピングされた画像が。
そして12月6日、47都道府県49か所の駅などで掲出されたのが、JO1の新曲の歌詞の一部と黒い線が描かれたポスターである。
実はこの広告、「コロナ禍で会えない47都道府県のファンにJO1がポスターで会いに行く」という企画として制作された。
「JO1はデビュー直後にコロナ禍に入ったため、全国ツアーなどを開催できた経験がありません。そこで、全国のファンと触れ合い、日頃の感謝を伝えるために、47都道府県を舞台にした企画を実施しました」と、企画を担当した長谷川輝波氏。
K-POPのファンマーケティングの手法として、SNSに投稿した内容をファンに考察をさせることで、話題を巻き起こすという手法がある。そこで、本キャンペーンではファンが考察・推理したくなるエッセンスを豊富に用意した。
その一つが、キャンペーン直前にツイッターに投稿された画像だ。最初の投稿では47都道府県の特定の場所の緯度経度を並べ、次の投稿では日本地図を思わせるかたちでカラフルな三角形を47か所にマッピング。それによって、ファンは「12月6日に47都道府県で何かが起こる」ことをつきとめ、その情報を共有しあった。その結果、キャンペーン開始前からツイッターでトレンド入りするなど、大きな反響が起こったという。
ポスターの掲出は全都道府県の主要駅だけではなく、例えば過去にライブを開催した駅や路線記号で「JO1」となる久里浜駅など、JO1のゆかりのある駅に掲出。さらに、各メンバーの出身都道府県にポスターを掲出するなど、細部にまでこだわった。
掲出後は、自分の住む地域のみならず、他県やお気に入りのメンバーのポスターが掲出されている県まで見に行くファン、数県をはしごするファンが続出。「#FIND_THE_JO1」というハッシュタグで次々とツイッターに投稿されている。
そしてファンの間でさまざまな推理が展開されたのが、ポスターに描かれた黒い線だ。それぞれのファンがポスターを見に行き、SNS上に投稿が集まるにつれ、その「黒い線」が何であるのか、議論が始まった。「それらをつなげると、何かが浮かびあがるのではないか」という推測のもと、投稿された画像を整理して組み合わせるなど、画像の謎解きに挑むファンが続出したのだ。
この「黒い線」、実は彼らからファンへのメッセージの一部。ポスターを歌詞順につなぎ合わせると、「ぼくたちは、いつでもひとつ。」というメッセージが浮かびあがる仕掛けになっていた。12月11日に、公式ツイッターにはメッセージが完成したビジュアルが投稿されている。
JO1のファンは他アイドルと比較して、ツイッター上での交流が盛んで、すでに強固なコミュニティができあがっている。そこで、ファンに向けてのメッセージを、あえて全国の広告を集めなければ正解が分からない仕組みにし、全国のファンがSNS上で協力してメッセージを作る流れを考えたという。
CDリリースの告知キャンペーンでありながら結果的にCDの売り上げにも貢献。2021年12月27日付のBillboard JAPAN週間“Top Singles Sales”で、本CDは51万6603枚を売り上げ、首位を獲得。これまで発売したCDの中で過去最多の売り上げを記録した。
スタッフリスト
- 企画制作
- 電通+アドブレーン
- CD+企画
- 長谷川輝波
- 企画
- 下穂菜美、辰野アンナ
- AD
- 神永恵実
- AE
- 畑千菜美
- CPr
- 酒井雅美
- D
- 山本翠、高橋京花