3月4日に、東京・白金のOFS Galleryにて「太田莉菜の不在」展が始まった。
タイトルにある「太田莉菜」は、モデル・女優として活躍している太田莉菜さんのこと。本展では、アートディレクター 矢後直規氏が彼女を絵にすることで、その肉体が物理的に写らない表現を作ることにチャレンジしている。
矢後氏は、現在SIXに所属。LCCのZIPAIRのロゴマーク、制服のディレクションなどのブランド開発、Laforet HARAJUKU、ROPPONGI HILLS、LUMINE、矢野顕子などのアートワークなどを手がけている。また今年3月からは、雑誌「GINZA」のアートディレクーも務めている。
「このプロジェクトがスタートしたきっかけは、OFSを主宰するKIGI 植原亮輔さんから、以前から親交のあった太田さんと二人展をやってみないかと提案されたことでした」と、矢後氏。
プロジェクトスタート後、太田さんから「自分の身体が物理的に写っていない表現をやってみたい」という提案があった。
母親として、表現者としての「太田莉菜」、家族や友人らから見た「太田莉菜」、SNSで見る「太田莉菜」、週刊誌やネットニュースで見る「太田莉菜」など、世の中にさまざまな「太田莉菜」が存在する中で、存在しているけれど実態がない、自分の名前と姿形が独り歩きをしている――。そう感じていた太田さん自身が「本当の自分はどこにいるのか」を探ってみたいと考えた。
「モデルさん、女優さんは撮影時にその場にいて、自分の容姿が写ることが前提なのですが、そうではないところで彼女のアイデンティティを出すという提案にすごく惹かれて。彼女をテーマにした絵を描くことになりました」(矢後氏)
そこからは「見た目以外での太田莉菜らしさとは何か」を、矢後氏は模索。太田さんがプライベートで撮った写真の中から「太田莉菜らしい」と感じるモチーフを選び、B4サイズの小型作品として描いている。そして、それらを合成しながら、B3サイズの中型作品、B1サイズの大型作品を描いた。さらに、「肉体が写らない=透明」という考え方から、ステンドグラスをイメージしたアクリル作品も制作している。
「芸能と広告、芸能とデザインは、表現においてどこか難しいところがありますが、2者が信頼し合っていればすごく新しい表現が生まれる。今回のプロジェクトで、そのことを僕自身が体験できました」(矢後氏)
展示空間は、太田さんのプライベート空間のような仕上がりで、「太田さんの姿はないが、太田さんを感じる空間」になっている。3月12日・3月20日には、2人よるトークイベントも開催される(限定20名、要事前申し込み)。
「太田莉菜の不在」展
日程:3月4日~27日
場所:OUR FAVOURITE SHOP内 OFS Gallery
0時間:12~19時(展示最終日は17時まで)
休廊:月曜・火曜・水曜