アドベリフィケーションツールを提供するIntegral Ad Science(インテグラル アド サイエンス、以下 IAS)は、「メディアクオリティレポート 第16版」を公開した。
同レポートは、2021年7月1日から12月31日の間に実施された広告キャンペーンから、全世界のデータインプレッションを分析し、ディスプレイ、動画、モバイルウェブ、アプリ内広告におけるブランドセーフティ、アドフラウド、ビューアビリティのトレンドを紹介するもの。キャンペーンや広告在庫の品質を計測する基準として利用できるバロメーターを提供している。
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調査によると、日本では、デスクトップディスプレイ広告のビューアビリティで低下傾向が続き、世界平均の70.1%を大きく下回り、前年同期比2.3ポイント減、世界最低の53.5%を記録。モバイルウェブディスプレイ広告のビューアビリティも、世界平均65.6%に対して日本は49.1%と、こちらも調査対象国で最低の数値となった。
日本のデスクトップディスプレイ広告におけるアドフラウド対策済みキャンペーンのフラウド率は、前年同期比で0.3ポイント改善し、2.6%となった。しかし世界平均は1.4%であり、依然として世界ワースト2位の低水準にとどまった。
世界のディスプレイ広告のタイムインビュー(TIV:ビューアブルなインプレッションが継続して表示された平均時間)は、すべての環境で減少。年間の減少幅は、モバイルウェブで3.6%、デスクトップで6.5%、モバイルアプリで11.1%となった。日本のデスクトップディスプレイのTIVは22.02秒で前年同期比で1.51秒減少したが、世界平均の21.73秒よりも長いTIVを記録。モバイルウェブディスプレイのTIVは14.22秒とやや減少し、世界平均の14.69秒を下回る結果となった。
また今回の調査からは、新たに業種別指標が追加されている。APAC、EMEA、アメリカの3つの地域と、自動車、消費財、金融、小売、技術&通信、旅行&エンターテインメントの6業種に対するメディア品質指標を導入。広告主はこれらの指標から、特定業種における自社のメディア品質パフォーマンスをより適切に評価できるようになる。最も苦戦していたのはEMEAの金融業で、2021年下半期、この地域の広告主の2倍以上のブランドリスクにさらされたと推測。また、APAC、アメリカの技術&通信の広告主も、ブランドリスク水準が地域平均の約2倍となった。一方、ブランドリスクの脅威が最も低かったのは自動車と旅行&エンターテイメント業であることが分かった。
さらに同レポートではキートレンドのひとつとして、コンテクストソリューションによるメディア品質の向上を挙げた。2020年後半以降、世界の多くの広告主が高度なコンテクストターゲティングのソリューションを導入し、消費者のユーザーエクスペリエンス向上とブランドリスクの低減につながったとしている。
IASの日本カントリーマネージャーである山口武氏は、次のようにコメントしている。
「日本が、アドフラウド率の最も高い国の一つであることに未だ変わりはないが、前年同期比で若干減少していることが確認されており、今後、JICDAQのようなアドフラウド対策や低品質なインプレッションを軽減するための新たな取り組みが、業界にポジティブな変化をもたらすと確信している」。