※本記事は『広報会議』2022年6月号の転載記事です。
創業96周年を迎えた、魚肉練り製品の製造を手掛けるカネテツデリカフーズ。事業と切っても切り離せない海の自然環境を守るため、水産資源保全活動に力を入れている。
旗艦商品のひとつが、本物のカニやホタテのような味・食感・見た目を再現した練り製品の「ほぼシリーズ」だ。2018年に発売した「ほぼうなぎ」は、絶滅が危惧されているウナギの持続可能な資源確保に貢献し、日本の食文化を次世代までつなげたいという思いで開発。毎年、土用の丑の日に合わせて通販限定で発売し、2021年は2日以内に完売するなど大きな反響を得ている。
同社マーケティング部の一柳圭氏は「開発背景にはもちろん真面目な思いを込めていますが、手にとってもらうきっかけは『面白そう、食べてみたい』で、後から『環境にも良いことしたな』と思っていただけるのがベストだと考えています」と語る。
同社の「ほぼシリーズ」商品ページには、「ほぼか、ほぼ以外か」というユニークなキャッチと、本物のカニの半分を「ほぼカニ」でかたどったビジ ュアルがある。「カネテツらしい面白さと楽しさで、SDGsへのハードルも下がり『自分でもできるかも』と思ってもらえればと思っています」。
このユニークなホームページを制作したのは、一柳氏も所属する、2021年4月に発足したマーケティング部だ。同部は、経営方針に則った統一的な施策を行っていくため、広報や商品企画、販売促進などの部門を統合。前述のページは、会社全体で連携しながら、商品情報などを発信していく場として制作した。「それまでは、メディアでご覧になり、商品を検索してくださる方がいても、ホームページは整っていない状態。能動的に発信する場を増やし、我々の取り組みをより伝えていくべきだと考えました」。
また、SDGsの取り組みを一元化して発信するウェブサイト「カネテツとSDGsのある暮らし」も制作。MSC認証のアラスカ産スケソウダラを使用した「鱈100% MSC」シリーズと、円谷プロダクションのアニメシリーズ「かいじゅうステップSDGs大作戦」とタイアップし、商品や動画を通して楽しく環境保全の重要性を伝えている。
これまでは『MSC認証の商品を発売した』というリリースで終わってしまっていたが、SDGsを軸に一つひとつの取り組みをまとめたことで、他社から協働の声掛けをされることも増えたという。
一柳氏は「当社の商品は『内容も見せ方も面白い』と言ってもらえることも多く、当社を知ってもらえばもらうほど仲間が増えてエコシステムができてきます。今後も、食品・小売にとどまらず、様々な業界の方と一緒に取り組んでいきたいです」と語った。
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『広報会議』2022年6月号
【特集1】
どうする?気候変動リスク対応
サステナビリティ発信強化
「脱炭素」座談会
企業×メディア×投資家の視点で語る
脱炭素に関する企業発信の潮流とは
GUIDE1 広報が求められる役割は
カーボンニュートラル経営実現のステップ
伊原彩乃(ボストン コンサルティング グループ プロジェクトリーダー)
GUIDE2 自分ごと化に広報は
人と社会を動かす「共感の深度」の見つけ方
畑中翔太(dea代表、クリエイティブディレクター/プロデューサー)
OPINION
脱炭素に真に取り組んでいるのか
判断の分かれ目、メディアはどう見る
・「Business Insider Japan」
・『繊研新聞』
・『WWDJAPAN』
・『化学工業日報』
・『環境ビジネス』
【特集2】環境ビジョンの浸透・成果の発信
「脱炭素」×自社の “らしさ”を結び付けた事例
CASE1 住友林業
脱炭素への本気度を示すのと同時に
事業領域の認知拡大を図る
CASE2 三菱UFJフィナンシャル・グループ
宣言に加え、アライアンスにも加盟
進める、ステークホルダーへの浸透施策
CASE3 ニチバン
環境対応に関する全社発信を、周年を機に強化
セロテープ®介し、他の企業の発信の“場”の創出にも
CASE4 石井造園
地域の”らしさ”を体現する企業を目指し
周囲の共感得る理念と合言葉を策定
COLUMN
Z世代に響くサステナブル発信とは
牧島夢加(博報堂 ミライの事業室)
【特集3】記事化につながるSDGsの取り組み
「プレスリリース」戦略
Q&A
社会課題の解決につながる取り組みのリリース
記者の注目を高める方法は
西林祐美(共同通信PRワイヤー)
CASE1 東急
日本初、全路線の電力を再エネ由来に
環境ビジョンと具体策を同時に示す
CASE2 UCC
カーボンニュートラルなコーヒー
背景にある技術、官民連携を発信
CASE3 千葉商科大学
自然エネルギー100%の大学を目指し
達成状況を視覚的にも伝わりやすく
など