やおきんが4月から展開してきた、スナック菓子「うまい棒」の価格改定に伴うメッセージ広告が5月7日に完結した。発売以来42年にわたり10円を維持してきた「うまい棒」だが、4月1日出荷分から12円に値上げ。公式Twitterや新聞広告を活用し、同社の率直な想いを発信した。
公式Twitterアカウントでは、うまい棒価格改定に伴い、4月1日にメッセージ広告を公開。
42年間維持してきた価格の値上げを、感謝とともに広告として打ち出した。
今回のコピーを手がけた、猿人ENJIN TOKYO コピーライターの矢﨑剛史氏は、「ブランドのアイデンティティそのものといえる、42年間続いた価格の値上げ。課題はその背景や葛藤を正しく伝え、消費者の皆さんの心を離れさせないこと。そうした中で、価格改定情報が先に拡散され、多数のメディアで報じられる事態が発生。このタイミングで何を伝えるべきか議論を重ねました」と制作の経緯について説明する。
「なくなっちゃうほうが、悲しいから。」というコピーは、実際の声をヒントに生まれたもので、9.3万件以上のRTと39.6万件以上のいいねを獲得。ニュースメディアでも広く拡散され、大きな反響を集めた。
「消費者にとってネガティブな文脈での報道になりやすい話題は、つい『謝罪』という方向性でソフトランディングを目指しがち。しかし、今回はあえてお詫びではなく『ちゃんと利益を出す』という一文にこだわり、“ベネフィット”を理屈っぽくならずエモーショナルに、丁寧に伝えることがチャレンジでした」(矢﨑氏)。
読売新聞では、4月9日から全4回にわたって、「うまい棒値上げ、どう思う?」と題した突き出し広告シリーズを公開した。駄菓子屋店主、問屋の社長、小学生など、駄菓子にゆかりのある人たちを起用し、にぎやかな雰囲気とともに感謝と価格改定を伝えている。
最終回の5月7日出稿分には、「藤屋菓子店」店主/ロックバンド「ニューロティカ」ボーカル ATSUSHIを起用した。「続けるって、ロックだぜ。」のコピーと駄菓子らしい明るさで、やおきんのこれからへの希望が感じられる内容となっている。
「世界情勢・経済状況が刻々と変わり続ける時代。このコミュニケーションが、この先も商品が長く愛されていくためのヒントになれば幸いです」(矢﨑氏)。
スタッフリスト
- 企画制作
- 猿人 ENJIN TOKYO
- CD+C+コミュニケーションPL
- 矢﨑剛史
- SCD
- 山田哲也
- AD+D
- 武井秀樹
- AE
- 富沢功