消費者庁は6月9日、回転寿司チェーンのあきんどスシローに「おとり広告」があったとして、措置命令を下した。テレビCMなどで訴求した商品を提供していなかった。2021年9月から12月にかけて断続的に実施したキャンペーンが対象。あきんどスシローは「再発防止に努める」とした。スシローはことし6月3日にも、実際には提供していない商品をテレビCMで流していた。
措置命令を受けたのは(1)21年9月8日〜20日 (2)同9月8日〜10月3日 (3)同11月24日〜12月10日に実施したキャンペーンで、(1)と(2)については期間中に提供中止を本部から一部店舗の店長などに通達。(3)については一部店舗で提供の準備がなかった。
購入できない商品を購入できるかのように表示する「おとり広告」は、景品表示法第5条3項で禁じられている。(1)と(3)はテレビCMで「※全ての商品は入荷状況、売れ行き状況により早期完売となる場合がございます」と添えていたほか、(1)〜(3)すべてで、自社のWebサイトで「売切御免!」と表示していたが、消費者庁は「〔店舗に行けば商品が購入できるといった〕消費者の認識を改めるには至らない」とした。
回転寿司「スシロー」の店舗数は国内に626店舗。商品を提供しなかった期間のある店舗は(1)583店舗 (2)540店舗 (3)583店舗で、9割前後に及んだ。
在庫は「過去の販売実績に基づいて用意していたが、予想をはるかに超える反響となった」(あきんどスシロー)。「Webサイトや店頭の表示を停止するなどの措置を取らず、お客さまへの告知が不十分だった」とした。
あきんどスシローは6月3日、4日にも、実際には商品を販売しないエリアで、販売を告知するテレビCMを流したとして、「TVCM放送エリアと販売商品の相違に関するお詫びとお知らせ」を出している。3月には愛知県の店舗で、メニューの表示と異なる商品の提供があったとして、購入金額の返金対応を実施した。「本マグロ」が実際にはインドマグロ、「九州産うなぎ」が中国産だった。