「ブランドの共通理解が進んでいる組織では、『今企画しているその新しいサービスは、ブランドの提供価値を意識して議論している?』といった日常の業務でブランドの考え方を確認する会話が自然となされています。良いブランドを意識し、つくっていく活動自体が、サービスの改善やビジネスの成長につながります。私たちは、そうしたブランドづくりのプロセス自体を評価し、啓発するアワードを実施しています」。こう話すのは「Japan Branding Awards」を主催するインターブランドのアソシエイト エグゼクティブディレクター広井勇吾氏だ。
同アワードには企業をはじめ、大学、自治体、スポーツ団体などからも応募がある。参加者からは「応募の課程で、自分たちの取り組みを体系的に整理でき、外部から評価される良い機会になった」との声が挙がっている。
組織にブランディングを組込む
審査するポイントは5つだ。
1 ビジネス成長に資するブランドの定義がされているか
2 一貫性を持ってブランド体験ができる表現や基盤があるか
3 目標を定め、ブランドが伝わる適切な手段、タイミングを選べているか
4 広告や社内コミュニケーションなど、ブランドの理解浸透につながる体験が提供できているか
5 活動を通じ、認知率や売上、社員の愛着度変化など、社内外へインパクトを与えられたか(図)。
その評価は、短期的な広告宣伝に留まることはなく、組織の活動全体にブランディングがいかに組込まれているかを多角的に分析するのが同アワードの特徴だ。「全てのポイントに着手していなくても、例えば、社会変化の兆しをつかんでスピーディに戦略立案を中心に取り組めた、といったことを応募いただいても構いません。そこから、それぞれの組織の強みやカルチャーも浮かび上がってきます。競争力の源泉であるブランドに向きあう機会としてアワードを活用してほしいです」。
受賞企業の取り組み
LIFULL
事業の全方位で一貫性を維持、メディア取材の変化も
2017年に社名を「LIFULL」へと変更。住まい関連のみならずLIFEを中心とした様々な事業を通じて、社会課題を解決する企業グループへ進化することを目指している。ブランディングを経営の中心に位置づけ、あらゆる事業において一貫性ある活動ができるよう、Chief Creative Officerが全体統括しながら、全社横断的型の体制で推進。その結果、社内外におけるブランドへの認知・理解向上、国内外50を超えるクリエイティブアワードの受賞など、一定の成果が出た。
Japan Branding Awards 2021への応募を通じ、「ブランディングは全社員一人ひとりの活動の総体としてつくっていくもの」という社内認識が強化。受賞後のメディア取材においては、ブランディングに関して質問される場面が増えている。
YA-MAN
常にクレドを意識する仕組みづくり、更なる企業成長へ
BtoBからBtoCへと事業をシフトした美容機器専門メーカー。創業40周年(2018年)を期にリブランディングを実施。コーポレートスローガンやクレドを整備し、顧客にもたらすものを具体的なイメージとして共有したほか、クレド報告書の提出、年間クレド大賞の選出など、常に社員がクレドを意識する仕組みを整えた。ブランディング活動開始以前と比べて、売上・営業利益は共に伸長。顧客や取引先、メディアからの評価に加え、商談や協業の増加、人材採用においては美容大手との併願者が増えるなど、変化が起きた。
Japan Branding Awards 2021への応募はブランディング活動開始から3年目の時。受賞を機に、中長期的に向けた次なるブランディング目標の創出にもつながった。
「Japan Branding Awards 2022」
応募資格:企業、教育機関、自治体など、日本で活動する団体。規模は問わない
募集対象:組織・事業・サービス・製品のブランディング
選考プロセス:書類審査を経て、選考通過者にインタビューを実施。審査員はインターブランド並びに外部のブランド戦略やコミュニケーション、クリエイティブの専門家が務め総合的に評価。12月上旬各賞の決定と贈賞式を予定
応募締め切り:7月29日(予定)
お問い合わせ
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URL:interbrandjapan.com
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