動画広告市場の成長のためには施策全体での役割を規定する

広告戦略が多様化する中で、動画広告の役割も変わりつつある。動画広告の効果を上げるために重要な、KPI設計やPDCAを回す際に注力すべきポイントについて、博報堂DYメディアパートナーズの飯塚隆博氏に話を聞いた。

※本記事は、2022年8月1日発売の『宣伝会議』2022年9月号の転載記事です。

博報堂DYメディアパートナーズ
AaaSビジネス戦略局 局長
飯塚隆博氏

1995年博報堂入社。初任はテレビスポット。その後13年メディアプラニングとプロデュースに携わり、約200社のクライアントのメディア・コンテンツ業務に関わる。 その後、テレビスポットと動画を6年、さらにデータソリューションの開発/実装を3年経験し、2021年度から博報堂DYグループのメディアDXソリューションであるAaaSの導入推進を担当。

 

Q. 広告主企業が抱える、動画活用の際の課題はなんでしょうか?

A. 「目的に合わせたKPIの設計を行うか」が課題。

昨今、動画に求められる役割が多層化しています。また、コネクテッドTVの台頭が目覚ましく、出面のマルチスクリーン化も進んでおり、それに合わせた表現戦略も工夫され始めています。

このように動画の役割が拡張されてくると、KPIも多岐にわたります。そのため、今まで以上に商材ごとに出稿目的やクリエイティブなどを加味しながら、適切な評価指標を設定すべきといえます。

またその実現には、適切なKPIを見定めるコンサルタント力と、PDCAをしっかりと回せるソリューション力の両輪が重要です。しかし実際は、画一的なKPIで管理・評価されていることが多いため、解決にはソリューションに対応するKPIを拡張し、改善施策の実行力をつける必要があります。

Q. 動画広告の効果測定やその後の改善についてアドバイスをお願いします。

A. 重要なのは既存の分析に捉われない洞察力と、改善を推進する実行力。

効果改善のため、PDCAのプロセスのなかで2つアップデートする部分があります。ひとつはPlanにおけるシミュレーションとCheckにおけるモニタリングの進化です。

昨今、基本的なシミュレーションとモニタリング機能は当たり前になりましたが、頼りすぎると本質を見失うリスクがあります。それを回避するため、データをベースにしたプランニングだけではわからない、想定外の動画の効果や活用方法を見出すチャレンジと洞察力が不可欠です。

2つ目はDo/Actionの実行力へのこだわりです。最近のソリューションはP/Cに強みを持つが、D/Aの実行力に欠けるものが多くなっています。そのため、実行力が事業成果に直結するという意識が大切です。

Q. 動画広告市場の成長に、どのように貢献したいとお考えですか。

A. 動画効果の最大化・可視化と、運用の新たな仕組みを構築する。

動画広告市場の成長のためには、マーケティング施策全体のなかで動画広告を捉えることが重要です。施策全体における動画広告の担うべき役割を規定し、効果を可視化し、他施策と有機的に連携して相乗効果を創出することで100%以上の動画のパワーを引き出していくことが市場の成長につながると考えています。放送局と連携し、分析から導いた効果的な枠のバイイングや入れ替えを行い、万全に運用できる仕組みをつくるなど、業界変革にも取り組んでいます。

この動きをさらに加速させ動画広告・マーケティング市場全体の成長に貢献したいです。

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