900名ものコピーライターが参加
10月8日から、東京・渋谷で「TCC60周年コピーライターズサミット」が開催される。これは、東京コピーライターズクラブ(以下、TCC)が、今年設立60周年を迎えたことを記念して開催するイベント。TCC会員であるコピーライターがナビゲーターとなり、トークセッションを中心としたプログラムが3日間にわたって実施される。
このイベントの実行委員長を務めているのは、TCC副会長の箭内道彦さんだ。「TCCは10年ごとに大きなイベントを開催してきたのですが、60周年で何をやるべきか、谷山雅計会長たちと議論していたときに話題に出たのが、2005年に開催した『広告サミット』でした」
「広告サミット」とは、箭内さんが企画し、東京・表参道と原宿で開催されたイベントだ。広告界の第一線で活躍するクリエイターたちがナビゲーターを務め、3日間にわたり、さまざまなトークが繰り広げられた。
「サミットが終わってしばらくしてからも、『広告サミット、またやらないんですか?』と聞かれることがよくありました。そして、『広告サミットに参加したことがきっかけで、広告の仕事に就きました』という若者に何人も出会って…。僕自身、その影響力に驚きました。コロナ禍で、やはり生の声を聴くことができる場って大事だなと感じているときに、谷山会長から『広告サミット的なことをできないだろうか』というお話をいただきました。僕は副会長でありながら、これまであまりTCCに貢献できていなかったのですが(笑)、それなら僕でもお役に立てるかもしれないと思ったんです」
本イベントのテーマは、「社会に言葉ができること」。
「昨今、SNSでは、言葉が社会や人に対する闘い方や挑み方のツールになっています。人を傷つけるのも言葉、でも人を救うのも言葉。言葉でいくら平和を唱えても戦争は起きてしまう無力さを感じながら、時には言葉で銃を封じこめることもできる。言葉にはそういう両面があるからこそ、取り扱い方が大事だし、これまで以上に言葉が重要な役割を担うようになってきていると感じています。そんないまの時代に、言葉は何をするべきか、言葉で何ができるのか。60周年をきっかけに、今回のイベントでは言葉について立ち止まって考える3日間にしたいと思いました」
ナビゲーターを務めるのは、この10年の間にTCC賞でグランプリ、あるいは最高新人賞を受賞したコピーライターたち。それぞれが話したいテーマで、人選も進めてもらった。
また、「言葉のプロフェッショナルに力を貸してほしい」という依頼を受け、会員であるコピーライターが渋谷区の課題にも取り組む。その一つが、「ハロウィーンの啓発コピー」だ。毎年、この時期に渋谷で問題になるハロウィーンでのマナー違反を少しでも減らすべく、約900名の会員から啓発コピーを募集した。イベント開催初日には、長谷部健渋谷区長らも参加し、600件近い応募作の中から選出されたコピーを発表。同時に、渋谷センター街を中心に、選ばれたコピーを使ったフラッグが掲出される。また、渋谷区の60の商店会で使われている地域通貨を活性化させるための企画も、トークテーマの一つになっている。
トークと併せて見どころとなるのが、会場の一つ、渋谷PARCO GALLERY X BY PARCOで10月7日から公開される「コピーの壁」。これは、TCC会員一人ひとりに選んでもらった「これまでに世の中に発表されたあなたのベストコピー」を、壁一面に掲出するという企画。約900名の会員が選んだ自身のベストコピーが並ぶ。
「今回のイベントでは広告に関係する人のみならず、若い人たちに“言葉を仕事にするってどんなことなのか”をぜひ知ってもらう機会にしたい。同時に、コピーライター、プランナーである自分たちも広告はこうあってほしいと考える時間を持つことができたり、自分たちはこうしていきたいと宣言する場になるといいなと思っています。数年後に、『コピーライターズサミットに行って、広告界に入りました』という人に多く出会えたら、うれしいですね」
イベントでは、TCCがこれまで実施してきた「ことばみらい会議2022」「こども広告教室」を実施するほか、「糸井重里と60年目の新人たち」「コピー日本一決定戦!」といった王道のコピー企画から、「広告コピーと何が違う?広報的コピーライティングの発想法とは」「ご当地プロモーションとコピー」「Webの人たちにいろいろ聞いてみる会」など、コピーをさまざまな視点から切り取った企画まで多様だ。一部配信もあり、いずれもPeatixから事前の申し込みが必要となる。
TCC60周年コピーライターズサミット
日時:10月8日(土) ~ 10月10日(月)
場所:渋谷区役所 スペース428 & カフェスペース、渋谷PARCO GALLERY X BY PARCO
※渋谷PARCO GALLERY X BY PARCOで開催する「コピーの壁」のみ、10月7日に開始。
参加費:無料
事前申込制 / 一部オンライン配信有
※プログラムの詳細は特設サイトにて。