ここ数年、「ブランド野菜」をはじめ地域活性のひとつの方策として、農産海品の広告やPR活動が盛んになっている。ホクレン農業協同組合連合会(以下、ホクレン)でも、本格的な生産が始まって3年目となる北海道の最高級ブランド米「ゆめぴりか」の全国販売を開始。10月より女優の桐島かれんさんを起用したテレビCMを大都市圏中心にオンエアしている。
これまで北海道内中心に消費されていたため、道外での認知度が低かった「ゆめぴりか」。その認知を一挙に拡大させようと、今回のCMは佐藤卓氏、中島信也氏、上田義彦氏のトップクリエイターが協働してのCM撮影となった。このキャンペーンでコピーライターを務めたのが、電通北海道の中川裕之氏。2005年に電通北海道に入社、道内で6年コピーライターとしてのキャリアを積んできた。宣伝会議「コピーライター養成講座」北海道教室の修了生でもある。
「道外では、まだ認知度が低い『ゆめぴりか』の名前を覚えてもらうこと、またその品質感を伝えることをテーマに『ゆめぴりかって何ですか?』という、多くの人々が抱く疑問をそのままコピーにすることで、一度見ただけで記憶に残るCMに仕上がりました」と中川氏。
今回は道外向けのキャンペーンだが、これまでも中川氏は「ゆめぴりか」の道内向けキャンペーンを手掛けてきた。最近では、「北海道米LOVE」のキャッチフレーズのもと、北海道に住む老若男女0才~100才、そして107才の北海道民を主人公に、「100通りの北海道米LOVE」と題し、多種多様な北海道民に愛される北海道米を描くCMを制作。このCMは道内で流されている。
北海道でクリエイターとしてのキャリアを積んできた中川氏。地域におけるクリエイターの役割や可能性をどう見ているのだろうか。
「北海道では、CMプランナー・コピーライターがキャンペーン全体を導くクリエイティブディレクターとしての役割をも担うことがあります。広告物のクオリティを高めるだけでなく、方向性・ゴールを定められるクリエイティブディレクター的な感覚・能力が求められると感じていますし、そこが仕事のおもしろさでもあります」と話す。
地域経済を活性させるには、企業の活性が不可欠。そして、その企業を支えるクリエイターに求められる役割も大きい。道内から全国に打って出でる、「ゆめぴりか」のCM企画の裏側にも、道内を知り尽くしたクリエイターの存在があった。
(本記事は、宣伝会議2011年11月15日発売号に掲載されたものです)
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