苦手だった接客が、やはり書店には必要だと感じたわけ
――主な客層やにぎわう時間帯について教えてください。
平日はビジネスパーソンの方が多いので、昼休みの12時~13時の時間帯が混みますね。一方で、休日は客層ががらりと変わって、家族連れの方が多いです。上階の結婚式場や付近の商業施設を訪れた人などが来られます。観光地も近く、空港からのアクセスもいいので、コロナ前は外国人を含む観光客の方も多く見かけていました。
――店舗内でこだわっている部分、力を入れている部分を教えてください。
リブロ汐留シオサイト店は、2003年3月にオープンしました。それまでリブロは、どちらかというと百貨店や商業施設の中など、家族連れの多い場所にあったんですね。ここはビジネス街ということで、店舗の広さも他とは違ってかなり小規模ですし、ビジネス書を専門に扱う、当時リブロにしては特殊な店舗だったと思います。私には、敷居が高いなと感じたのを覚えています(笑)。
店舗のこだわりとしては、探している本が見つけられるようにしています。どうしても大きい店舗だと各棚で担当者が決まっていて、コミック担当はコミックについてしかわからないということがたまにあります。しかし、他ジャンルの今売れている本が答えられないというのは私としては、疑問に思うところがありました。そうならないために、小規模な店舗であることを活かし、コンパクトで分かりやすく、聞かれたらすぐに答えられるような書店づくりを心がけています。
実は、接客は苦手なんです。でも書店でバイトをしている時代から、「この本どこにある?」「こういう本ないかな?」とお客さまから本当によく聞かれるんです。
その時にやっぱり書店って必要だなと。お客さまのために、本を探したり、本の入手の仕方を伝えられたりできるのは書店でしかできないなと思いますね。私たち書店員も、本が好きだからこそ、読みたい本が見つかった時の嬉しさがわかるので、その気持ちをお客さまと分かち合えた時、書店員や書店の必要性を感じます。
本とお客さまをつなげられて、「ありがとう」とお客さまに言ってもらえると、接客は得意ではないけれど、「よかった」と思えますね。
――店の特徴や他店との差別化を図っている工夫があれば教えてください。
やはり、オープン当初からビジネス書を多く置いているということが差別化になっています。置く書籍のジャンルが決まっているので、差別化は図りやすいです。また、付近の企業の関連本を置いたりもしています。他の書店にあまり並ばないようなものを、あえて置いたりもしていますね。
――よく売れるジャンルは。
リーダー論や株についての書籍はよく出ています。ビジネス書はトレンドが出るので、少し前までは、メタバースに関する書籍が人気でした。変わらず人気なのは自己啓発本ですね。
逆に絵本は新刊より、『ぐりとぐら』のようなロングセラーが人気だったりして、それぞれジャンルごとに違っていて面白いです。
――今後の展望、意気込みなどを教えてください。
書店がどんどんなくなってきていますが、長くお客さまに寄り添い続けたいですね。書店に来て、1冊でも買ってもらえたら嬉しいです。ネット注文でも書店受け取りにして、ふらっと書店に来てほしいです。
また、「この本を置いてほしい!」ということがあれば、継続して買っていただけるならば、もちろん置くことも検討いたします。
皆さまに来てもらえるように、少しでも面白く、工夫したいと日々試行錯誤しながら営業しておりますので、ぜひ足を運んでいただければと思います!
リブロ汐留シオサイト店
東京都港区東新橋1-5-2 汐留シティセンターB2F
開店年:2003年
営業時間:平日10:00~21:00、土日祝 11:00~19:00(変更の可能性あり)
定休日:不定休
担当者おすすめの1冊
『ロバートの元ストーカーがテレビ局員になる。~メモ少年~』
篠田直哉(著)
ファン目線から見れば、これ程成就している現実の話はないのでは?と思ってしまう。
この事実がSNSなどから広がり始め、TV、書籍化、イベントとしてさらに拡散していく様は、何度となく味わいたくなる面白さに溢れている(ロバートのメンバーが著者イベントにゲストに来る、なぞ逆転構造すぎてお腹抱えて笑えるレベル)。
なぜこの事実がここまで魅了されるのか?
紐解いていくと色々なアイデアのヒントとなるものが見えてくるかもしれない。