皆川明氏ら13人のクリエイターが全国で見つけた〈デザインの宝物〉を展示、「DESIGN MUSEUM JAPAN 展」

2020年1月から制作されたNHKの番組「デザインミュージアムをデザインする」(Eテレ)。第一線で活躍するクリエイターたちに「日本にまだないデザインのミュージアムをあなたが作るなら、どんなものを作りますか?」と問いかけ、その答えの中から「日本各地に点在する、素晴らしい〈デザインの宝物〉を所蔵する館や組織をネットワークし、その集合体を〈デザインミュージアム〉と呼ぶ」というアイデアを導きだした。日本全体が〈デザインミュージアム〉になればよい、という提案である。そして、その提案を指針とした展覧会「DESIGN MUSEUM JAPAN 展 集めてつなごう 日本のデザイン」が、11月30日から東京・六本木の国立新美術館にて始まる。

DESIGN MUSEUM JAPAN展 ポスターグラフィック。デザインは、岡本健氏。

本展では、全国47都道府県にあるNHK放送局のネットワークを駆使し、第一線で活躍する13人のクリエイターたちとともに各地の生活文化をリサーチ。全国13地域で見つけた〈デザインの宝物〉とその背景にあるものを紹介する。

参加したクリエイターたちが見つけた宝物は、雪国の暮らしを支えた山形の緞通、新潟・佐渡の船大工が暮らした町並み、世界最先端の富山のスポーツウエア、山梨の繊維産業の起源というべき絹織物、静岡の〈水辺〉の暮らしにある名もない人々の工夫、和歌山の博物学者・南方熊楠の〈収集のデザイン〉、岡山で作られるプロペラの合理的な美しさ、福岡の祭り〈博多祇園山笠〉がつなぐものなど、さまざまだ。参加したクリエイターと見つけたものは以下の通り。

本展は、一般社団法人Design- DESIGN MUSEUMの協力のもと、野見山桜氏がコーディネーション、田根剛氏が会場デザインを手がけている。

また、12月10日にはNHK総合で特集番組「DESIGN MUSEUM JAPAN」(15:05~15:50予定)が放映される。さらに本展終了後、2023年春から2024年にかけて、サンパウロ(ブラジル)、ロサンゼルス(アメリカ)、ロンドン(イギリス) のJAPAN HOUSEでの展示も予定している。

※参加クリエイターとテーマ

皆川明 (デザイナー)
「山形緞通」 〈雪国のくらし〉を支えるデザイン (山形/山形県)

山形のリサーチの様子・山形緞通

西沢立衛 (建築家)
「佐渡・宿根木集落」 〈海の民の合理性〉あふれる町並み (佐渡/新潟県)

新潟のリサーチの様子・宿根木の集落

柴田文江 (プロダクトデザイナー)
「甲斐絹」 千年続く織物 郡内織物のルーツ (富士吉田/山梨県)

山梨のリサーチの様子・甲斐絹

乾久美子 (建築家)
「小さな風景」 無名の工夫の集積にデザインを見る (富士宮・伊豆/静岡県)

静岡のリサーチの様子・小さな風景

須藤玲子 (テキスタイルデザイナー)
「最先端スポーツウエア」 発想源は富山の「あんどん祭」 (小矢部/富山県)

富山のリサーチの様子・ラグビージャージー

三澤遥 (デザイナー)
「南方熊楠コレクション」 万物をフラットにみる収集のデザイン(田辺/和歌山県)

和歌山のリサーチの様子・鉱物の収集箪笥

原研哉 (グラフィックデザイナー)
「プロペラ」 合理性が生む揺るぎないかたち (倉敷/岡山県)

岡山のリサーチの様子・プロペラ

廣川玉枝 (服飾デザイナー)
「博多祇園山笠」 更新されながら受け継がれる情熱の結晶 (福岡/福岡県)

福岡のリサーチの様子・博多祇園山笠

森永邦彦 (ファッションデザイナー)
「ノロの装束“ハブラギン”」 着る人を守る意思が生んだデザイン (奄美/鹿児島県)

辻󠄀川幸一郎 (映像作家)
「ぶちゴマ、そこから広がるさまざまなコマ」 おもちゃは人間が最初に触れるデザイン (姫路/兵庫県)

水口哲也 (エクスペリエンスアーキテクト)
「トランスアコースティックピアノ」 伝統の匠と最新のテクノロジーの出会いをデザイン (浜松/静岡県)

田川欣哉 (デザインエンジニア)
「柳宗理のデザインプロセス」 カトラリーを例に(金沢/石川県)

田根剛 (建築家)
「縄文のムラ」 1万年前の住空間にもデザインがあった (一戸/岩手県)

DESIGN MUSEUM JAPAN展 展示イメージ

「DESIGN MUSEUM JAPAN 展 集めてつなごう 日本のデザイン」
会 期 : 11 月 30 日(水)~12 月 19 日(月)
会 場 : 国立新美術館 企画展示室1E
休館日:火曜日
開 館 時 間 : 10:00~18:00 (金曜日は 20:00 まで) ※入場は閉館の 30 分前まで
観 覧 料 : 無料

関連リンク
クリエイティブライブラリー 原研哉編


この記事の感想を
教えて下さい。
この記事の感想を教えて下さい。

この記事を読んだ方におススメの記事

    タイアップ