今回、紹介するのはニューステクノロジーが提供する「タクシーサイネージメディア」。日本のメディアのモニターサービスを通じて、「KANADEMONO」を手掛けるbydesignとの購入体験コンテンツを導入した施策を実施。本記事は前篇・後篇の2本立てで公開。前篇となる本記事では、コロナ禍など不測の事態を乗り越え進化するタクシーサイネージメディアの今を紹介する。
タクシーサイネージメディア「GROWTH」が2022年10月にリニューアル。「移動時間に、新体験を。」を目指した、その内容とは?
タクシーの車内のサイネージに動画広告が流れていても不自然さを感じなくなっている。それは一方で、見慣れてしまったことを意味している。「またいつもの広告が流れている…」と利用者に思われてしまえば、注目率は落ちかねない。
ニューステクノロジーは、2019年4月に「GROWTH」のサービス開始後、今や東京都内最大を誇る12,500台のタクシーに搭載されているタクシーサイネージメディアを運営。順調に成長をし続けてきたものの、現状に危機感を覚えていた。そこで同社は、2022年10月に大幅な媒体リニューアルを実施。その狙いについて聞いた。
コロナ禍にも関わらず広告出稿が復活。その理由は正確なデータの提供にあった
タクシーサイネージメディアは、都内の場合はタクシーはビジネスパーソンの利用が多いため、決裁者層に情報を届けやすいという点が特徴として挙げられる。同社によれば、東京23区のタクシー利用者のうち4割が会社員、3割が経営者と7割以上がビジネスパーソンであり、「GROWTH」ではビジネスパーソンを含む月間820万人のタクシー利用者に向けて情報を届けることができる。
しかしコロナ禍、特に2020年3月の緊急事態宣言後には出稿が一時的に落ち込んだ。出稿する企業側も経験したことのない初めての事態であり、「とりあえず出稿を見合わせた」という経緯がある。しかし、当初は長引くと思われた出稿控えも、思いのほかすぐに回復したという。
その理由の1つが、「利用者数をデータとして出稿企業に提供できたこと」だ。タクシーのメーターが実車になるとタブレットの映像がスタートする仕組みであるため、1日単位でも時間単位でも、何人が乗っているかを把握することができる。広告メニューもインプレッション課金型に変更し、お客様が乗った分を請求する仕組みに変更。「正確なデータを広告主・代理店に提示することで、ある種の信頼感があったのではないか」とニューステクノロジーでは考えている。
大幅なサイズアップにより、閲覧後のアクションにつながりやすいメディアに
今回の大幅な媒体リニューアルが行われたのは2022年10月。タクシー利用者に一歩先の新しい移動体験を提供するべく、新しいコンセプトとして「移動時間に、新体験を。」を掲げ、ハード・ソフト(放映コンテンツ)ともに刷新した。
まずハード面は、旧型と比較して156%サイズアップし、Full HDの解像度で高精度に放映が可能なサイネージを開発。15.6inchという大画面となった。またサイズが大きくなったことで画面表示に余裕が生まれ、画面上にサイドバナー・メニューバナーを備え、サイドバナーでは詳細情報やQRコードを表示させることでメインスクリーンの情報の補足が可能に。
メニューバーでは、電子決済や画面・音声オフ、クーポンの表示が常時可能となった。これにより「見る」がメインだったコンテンツに、操作性が生まれ、閲覧後のアクションにつながりやすくなることで、タクシーサイネージの活用に様々な可能性が生まれた。手で触れられる距離にある端末というタクシーサイネージの特徴を、これまで以上に活かせることになる。
最近の事例では、映画『貞子DX』のプロモーションの一環として行われた「貞子タクシー」の企画がある。サイネージのメニューバーをタッチし、画面にでてきたQRコードをスマホで読み取ることで、まるでサイネージから貞子が飛び出てくるような迫力のある演出をAR技術によって実現した。
タクシー車内オリジナル番組コンテンツを配信。すでにBtoC企業の利用も進む
ハード面の更新に合わせて行われたソフト面の刷新が、情報番組「HEADLIGHT(ヘッドライト)」という、タクシー車内の番組コンテンツの開始だ。2022年10月のハード刷新に併せて放映を開始し、MCにはフリーアナウンサーの青木源太さんとタレントの山崎怜奈さんを起用。「知る、買う、出かける。新体験ぞくぞく。」を番組テーマとし、週替わりでタクシーオリジナルの情報コンテンツを放映している。
ニューステクノロジーでは「HEADLIGHT」の存在により、BtoC向けにビジネスを展開する企業にもタクシーサイネージがより有用になると考えている。最新のBtoC企業との取り組みとして挙げられるのがbydesignが手がけるカスタムオーダーの家具ブランド「KANADEMONO」とのコラボレーション企画だ。
「HEADLIGHT」のコーナーである、画面に表示されるQRコードから買い物が楽しめるコーナー『買いタク!』と、東京の新体験スポットを紹介するコーナー『東京新体験』にて、11月28日週から3週連続で「KANADEMONO」を紹介。20秒という短い放映時間の中で、自宅・オフィスどちらにも似合う「KANADEMONO」の魅力を訴求し、タクシーを利用するビジネスパーソンの認知向上だけでなく、購入を促す要素まで詰め込むことを実現した。
ではBtoCブランドでのタクシーサイネージの活用に効果はあったのだろうか。
本記事の後編として「KANADEMONO」を手掛けるbydesignのインタビュー記事を掲載予定だ。
■「日本のメディア」はこちら
成功事例の要因をよく知る宣伝会議のコンシェルジュが、貴社のさまざまな悩みを「日本のメディア」の登録メディアや独自のネットワークから解決に導きます。
「日本のメディア」ご利用のお問い合わせ
株式会社宣伝会議 新規事業開発部
EMAIL:jpm@sendenkaigi.co.jp