米連邦取引委員会(FTC)は2月9日、2022年の米国における恋愛詐欺(ロマンス詐欺)の被害額が13億ドル(約1700億円)に上ったと発表した。2月14日のバレンタインデーが近づくと増加する傾向にあり、米連邦捜査局(FBI)なども注意喚起を始めた。日本国内でもSNSやマッチングアプリで知り合った異性からの依頼で送金し、トラブルを招いたケースが目立ちはじめている。
FTCの消費者監視員ネットワーク(Consumer Sentinel Network)に登録された被害額は2019年に4億9300万ドル、20年に7億3000万ドル。21年から急増し、13億ドル規模となった。22年も同規模で推移し、被害者数は約7万人。恋愛詐欺は損害を被ったことを周囲に知らせないケースが珍しくなく、潜在的な被害者はより多いとされる。
詐欺の発端はSNSが目立つ。被害届けで連絡手段が明記されているもののうち、40%がSNSで、マッチングアプリなどは19%だった。詐欺師からの連絡後、チャットアプリの「WhatsApp」や「Google Chat」、「Telegram(テレグラム)に移行することも少なくないという。
恋愛詐欺で多用されるウソのトップは、本人かその近親者などが「病気になった、ケガをした、刑務所に入れられた」というもので24%。次いで「投資で儲ける方法を教えてあげる」「従軍して遠くへ赴任することになった」「重要な配達物があるので助けてほしい」がいずれも18%だった。FTCは「被害額が21年から変わっておらず、残念ながらこれらのウソがいまでも効果的であることを示している」とする。
送金方法別で被害額が最も大きいのは「暗号通貨」で34%だった。次点が「銀行振込」で27%。デジタルギフトカードは被害額では7%だが、被害件数では最多で24%を占める。
暗号通貨に関する相談は日本国内でも増加傾向にあり、2021年度に全国の消費生活センターに寄せられた相談件数は6350件に上った。「SNSで知り合った外国人女性から指示されたアプリ内で暗号資産の取引をした。出金を希望したら、高額な費用を請求された」などの報告がある。